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土地と人と-地域創造への挑戦

(1)過疎の集落でつくる新しい景色

2019/6/28配信

 白老町の国道から山側へ向かって約6キロ。ここに住所に載らない飛生(とびう)地区がある。この地には1986年に廃校となった旧飛生小学校がある。学校跡を活用した共同アトリエ「飛生アートコミュニティー」は、芸術家や音楽家らによって廃校と同じ年に創立された。仲間の縁で私はここに15年ほど通っている。

 学校の敷地の森に有志が集い、「飛生の森づくりプロジェクト」を始めたのは2011年の春。長く放置されていたせいもあり、うっそうとして人間が立ち入ることも困難な荒れた森。そこに1本の道を造ることから始めた。

 月に1、2度の森のプロジェクトでは、森の循環を促す整備や作品の創作などを通して、世代を超えた仲間たちと作業や寝食を共にしている。森づくり活動を経て、毎年秋には年に1度の村(森)開きとして「飛生芸術祭」を自分たちの手で自主開催している。

 飛生小ではかつて、この学校林を活用した授業が行われ、児童たちは森に集まるたくさんの鳥の鳴き声を同時に聞き分けられたそうだ。1983年には北海道から「愛鳥モデル校」の指定を受けた。教室が二つの複式学級に先生が平均2人。下校時に教員宅で児童たちがお風呂に入れてもらって帰宅した記憶もある、と近隣に住む卒業生から聞いたことがある。こうした当時の記憶、個々の思い出を聞き重ねていくと、この土地の景色、風景が立ち上がってくる。

 飛生地区の世帯数は現在10を下回り、住民は15人弱。住民のほとんどが70歳を超える過疎のへき地だ。この地に私たちが通い続け活動していることを、地元の町内会長さんは歓迎してくださり、たくさんのサポートも頂いている。世代や地域、個々の生活背景を越えて一つの森で協働し、汗を流し、共に学び語り合う。人に居場所があることの大切さを森づくり9年目で感じている。

 学校には子どもたちの姿や歓声がよく似合う。今、私たちの世代とその子たち、これから出会う人たちでこの土地の新しい景色をつくっていきたい。

      ◇

 札幌市で企画会社を運営し、白老町を舞台に幅広い文化芸術事業のプロデュースに携わる木野哲也さん。「地域資源、アート、共生、多様性」をキーワードに、文化を介して地域の人々と協働の場を創出している取り組みを木野さんの寄稿で紹介する。

 木野 哲也(きの・てつや) 文化芸術事業プロデューサー。1978年生まれ、渡島管内上磯町(現北斗市)出身。学生時代からさまざまな表現領域に関心を持ち、現在、札幌市で企画会社ウタウカンパニーを運営。地域の文化資源を活用した幅広い可能性をプランニングしている。札幌市と白老町の2拠点生活で活動中。

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