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その日私たちは-胆振東部地震の教訓

(5)苫小牧市役所 外国人への情報伝達に課題

2019/3/9配信

 胆振東部地震が起きた昨年9月6日、苫小牧市内では、学校や町内会館などに避難所が設けられた。大勢の市民が利用したが、特に外国人については情報伝達面での課題が浮き彫りとなった。今後、どのように対応していくか十分な検討が求められている。

 「正確な情報を迅速に複数の言語で発信し、不安や混乱を避けなければならない」

 市危機管理室の前田正志主幹(47)は今回の地震で、避難所運営などを取り仕切った経験からそう言い切る。

 震度5強の地震発生を受け、市は同日午前4時45分、市内の全小中学校38校に避難所を開設。その後、総合福祉会館など指定場所以外でも地域住民らが自主的に避難所を立ち上げ、合計51カ所が市民の避難先として機能した。

 同日早朝、市の広報車が巡回して避難所の開設を周知。避難所の利用者数は午後11時半に942人に達したが、電力復旧などで翌7日同11時半時点で450人まで減った。8日午後3時には80人とピーク時の10分の1以下となり、13日に全避難所が閉鎖された。この間、各避難所に大きな混乱はなかった。

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 ただ、情報伝達には課題が残った。外国語を使ったアナウンスはごく限定的だった。避難所には一定数の外国人がいたが、外国人同士で身を寄せ合ってひっそりと集まっている場面もあった。

 地震発生から3日間、インターネット交流サイトのフェイスブックで英語や中国語、韓国語による情報発信を十数件行った以外は結果的に、問い合わせへの個別対応となった。

 災害時の外国人への対応を定めたマニュアルがないことも影響したとみられる。

 一方で、個別対応にはイベント運営などで協力する「国際交流ボランティア」の市民が、通訳などとして活躍したという。

 2017年12月末時点で、市内に住民票がある外国人は527人。5年間で80人増えた。国別に見ると、朝鮮・韓国籍155人、中国籍110人が多い。市内の宿泊施設を利用する訪日外国人客数も増加の一途で、17年度は、08年度比3・9倍の3万8818人に上っている。

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 地震発生時、市役所には外国人から、交通機関や宿泊先などに関する問い合わせが5件ほどあった。市内在住の韓国人、鄭英玉(ジョン・ヨンオク)さん(67)は国際交流ボランティアの一人で、市の依頼を受けて通訳を引き受けた。庁舎には韓国人旅行客の女性2人がおり、市外へ出られず困っていたという。

 韓国語を用いて、交通機関が正常に動かない状況を説明し、避難所まで案内。母国語で話し掛けると、安心した様子を見せ、2日間を避難所で無事に過ごした。

 鄭さんは「災害時には情報がとても大事。言語の違いから得られる情報に格差が生じてはいけない」と強調。「災害時に避難所運営に当たる人たちは、基本的な会話を学んでおくと外国人は安心すると思う」と話す。

 新千歳空港に近い苫小牧市では今後も、外国人の増加が予想される。母国語のように自由に日本語を使えない外国人に対する情報発信体制の強化は急務で、市は今年、職員向けの災害対応マニュアルの見直しに着手する。前田主幹は「避難所での外国語併記など多言語対応をきちんと考えていかなければならない」と力を込めた。

(八重樫智)

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