3

19(火)

胆振の
明日の天気

曇り時々晴れ

12 / 1

その日私たちは-胆振東部地震の教訓

(4)病院 患者の心のケアも重要

2019/3/8配信

 災害時の医療救護活動の拠点となる、災害拠点病院に指定されている苫小牧市立病院(清水町)。ヘリコプターによる患者の搬出入や24時間の緊急対応が可能で、災害派遣医療チーム(D―MAT)の派遣体制も備わっている。昨年9月6日に起きた胆振東部地震では、道内外から派遣されたD―MATの拠点となり、重症患者も受け入れた。

 「揺れは大きかったが病院にどの程度の被害が出ているのか、まったく想像つかなかった」。同病院看護部の高沢由美次長(50)は、市内で震度5強を観測した同地震発生当時をそう振り返る。

 揺れが収まった後、水や食料、着替えなどを多めに用意し、すぐにマイカーで自宅から病院に急行した。同日午前4時ごろ、病院に到着すると、すでに災害対策本部が立ち上がっており、施設の安全点検や情報収集などの業務に当たった。見た限り建物の損壊はなく、入院患者にも混乱は見られず、「ほっとした」と言う。

 同日午前7時45分ごろ、負傷の度合いで患者を選別するトリアージが始まった。正面玄関から入ってくる患者のうち、重症者を赤色、中等症者を黄色、軽症者は緑色のコーナーに素早く誘導した。午後2時までに9人の重症者を受け入れた一方で、緊急性の低い患者には可能な限り通院を控えるよう電話で要請。「院内に患者数が少なかったことにも助けられ、大きな混乱はなかった」。

□    □

 同院は、東日本大震災を契機に非常時の職員の動きを定めたマニュアルを用意。BCP(業務継続計画)、停電など8種類に分かれており、今回は五つのマニュアルに基づいて対応した。

 年1回の防災訓練では、地震や風水害などを想定し、災害対策本部の立ち上げからトリアージ、初期消火、施設の倒壊が起きた際の避難誘導の手順などを一挙に確認する。高沢次長は「中身の濃い訓練を重ねてきたからこそ、落ち着いて対応できた」と語る。

 市内全域が停電した時もすぐに予備電源に切り替わった。同院が保有する非常用発電機は、3日間ほど電力を供給可能で、「電源を失うリスクが低いことは拠点病院としての強み」と胸を張る。

□    □

 一方で、地震による影響が最小限で済んだのは「良い偶然が重なったことも大きい」と分析する。医療関係の物品は備蓄で対応できたが流通の混乱で、院内の売店では食品や飲料水が品薄となり、数日間、入荷待ちの状態が続いた。クリーニングのシーツなども工場の操業が止まった間、受け渡しができなかった。

 入院患者のうち、9月6日に退院予定だった患者はその日は見送り、数日間、後ろ倒しにする対応を取った。患者からの苦情は報告されていないが、高沢次長は退院待ちの患者が多くなれば、それがストレスにつながることも考えられ、安心してもらうためのケアは重要と説く。

 今回の地震では「病院運営に支障を来すような大きな被害が出なかったこと、発生後に来院する患者の数を抑制できたことが大きかった」と回顧した上で、「今後、余震や樽前山噴火など予期せぬ災害に襲われる可能性も踏まえ、訓練を重ね、防災意識を高めなければならない」と述べた。

(石井翔太)

週間ランキング

集計期間 03/12〜03/19

お知らせ

受付

苫小牧民報社から