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その日私たちは-胆振東部地震の教訓

(3)港湾機関 情報伝達体制の再構築必要

2019/3/7配信

 全道の港湾取り扱い貨物の半数以上を担う苫小牧港。昨年9月の胆振東部地震では、2015年に策定された港湾BCP(事業継続計画)が発動されたが、想定外のブラックアウト(大規模停電)で通信系統に不具合が発生。被害状況の把握など情報収集に支障が出た。苫小牧港管理組合は今回の地震で浮き彫りとなった課題を踏まえ、災害に強い港づくりに向けた計画の見直し作業を進める。

 今回の地震では、西港に目立った被害が出なかった一方、東港で液状化などの被害が発生。苫小牧国際コンテナターミナルは荷役作業ができなくなった。同組合の職員や地元建設業者らが応急工事に全力を注ぎ、国交省が指定する大規模な港湾としては異例の5日間という早さで仮復旧。その対応は全国の港湾関係者から高く評価された。ただ、災害発生時には想定外のトラブルが起きていた。

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 同組合で危機管理を担当する、池渕雅宏港湾振興室長(59)は「港湾BCPに関わるすべての機関、団体が初めての経験で余裕がなかった」と振り返る。

 港湾BCPでは有事の際、各企業や団体が現場で集めた被害情報などを幹事社が集約。同組合に電話やファクス、メールあるいは直接訪問で報告し、港湾全体の状況を把握する仕組みになっているが、ブラックアウトで通信機能が停止した上、それぞれの対応に追われ「現場からの連絡はほぼなかった」。

 情報伝達がうまくいかなかった理由について、池渕室長は「想定外の停電、自社対応への専念に加え、西港の被害がほとんどなかったため『影響は少ない』との認識が広がったことが大きかったのでは」と分析。「教科書通りには進まないことを実感した」と語る。

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 同組合はBCPの運用を急きょ変更し、自ら情報収集を開始。新聞の見開きサイズで印刷した港湾の図面に、被害現場から刻々と集まる情報を記入し、現場写真も添えて情報を整理した。

 現場を統括する佐々木秀郎専任副管理者の指示で応急復旧工事は急ピッチで進み、地震発生翌日の7日、地中波レーダーによる調査を開始。8日には陥没箇所などの復旧工事に着手し、11日に一部荷役を再開できた。すべての作業がフルスピードで進捗(しんちょく)したが池渕室長はコンテナターミナルで荷役を再開できた瞬間は「『やっとか』という思いだった」と言う。

 一方、被害がほとんどなかった西港では、旅客フェリーが通常運航。支援に駆け付けた船舶は安全に入港、着岸でき、BCPに基づく迅速な対応による成果も確認できた。今回の地震では情報共有に関する課題が見つかったほか、「港湾設備だけではなく、関連企業の被害が二次的、三次的に影響をもたらすことが分かった」と池渕室長。市民生活に影響を及ぼさないよう市をはじめとする関係機関との連携について、十分な検討が必要と考える。

 港湾BCPは、同地震を教訓に今月から見直し作業に入る。新たに見えてきた課題を関係機関・団体と協議し、対策を練る。「最大の課題は情報伝達の在り方。体制再構築に向けた土台づくりの場とし、より災害に強い港づくりを目指す」

(島山知房)

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