8

17(土)

胆振の
明日の天気

晴れ時々曇り

27 / 19

前へ-胆振東部地震被災地の人々

(4)町民へ心のケア継続 むかわ町の法城寺住職・舛田那由他さん

2019/1/10配信

 「自分にできることで町民を少しでも元気づけたかった」

 昨年12月10日、むかわ町大原にある法城寺の談話室。畳に正座し、胆振東部地震発生以降、地道に重ねてきた活動への思いを穏やかな口調で振り返った。

 同地震では、自身も被災者となったが、地域で子育て中の母親らが気軽にお茶を飲みながら交流できる「ママカフェ」や無料のマッサージ会を寺で開くなど、震災で傷ついた町民の心をケアする活動に取り組んできた。普段は、けさをまとって仕事をしているがイベントには上下ジャージのラフな姿で登場する。

 同町出身。苫小牧市内の高校を経て2003年に京都の大学を卒業後、同寺の副住職となった。2年後の05年に当時住職だった父の和麿(かずまろ)さんを病気で亡くし、24歳で5代目に就任。副住職の弟・那我留(ながる)さん(36)と二人三脚で寺を切り盛りしている。

 被災した町民を支援する活動はすぐに始まった。震度6強の揺れで境内の鐘楼(しょうろう)堂が全壊するなど、寺も深刻な打撃を受けたが、震災発生から2日後の9月7日には室蘭市の本教寺と本光寺の住職らに発電機を持参して駆け付けてもらい、携帯電話などの充電用に一般開放。同12日からの5日間は和室に臨時の託児所を開設した。

 地震から3カ月以上たった今も「あの時、託児所をつくってくれて本当にありがたかった」と町民から感謝の言葉が絶えない。親にとって子どもの精神面での異変は大きなストレスになる。「母親同士の交流の場をつくることで、『わが子だけじゃない』という一種の安心につながれば―という思いがあった」

◇    ◇

 震災発生から10日余りで、町内の小学校が授業を再開。この頃から、支援活動は町民のニーズを探りながらのものに変化していく。小さな子どもを抱える母親からの「家で1人でいるのが不安」という声に応え、ママカフェを企画。昨年12月5日に開催した回では、苫小牧市在住の収納アドバイザーを講師に迎え、物の整理が心の整理につながることを紹介した。

 「被災者に何かしてあげたいけど場所がない」という人のために、慰問やイベントの会場として寺を開放する取り組みも始めた。昨年9月中旬には、苫小牧市職員が「とまチョップ」やアイスホッケーチーム王子イーグルスの鷲斗(シュート)などのキャラクターを連れて同寺を訪れ、和室で50人以上の子どもたちと写真撮影を楽しんだ。同年11月上旬には境内で炊き出しイベント、和室でプロのマッサージ師による無料施術会も行われ、町民らの笑顔が広がった。

 被災したが、悪いことばかりでもなかった。地震をきっかけに生まれた縁もある。ママカフェなどを通じ、これからも仮設住宅に暮らす町民などへの支援を続けていくつもりだ。昨年12月には、町民の心のケアに取り組む組織「ラリー@むかわ」を有志と発足。「もしまたどこかで大きな災害が起きたら、今回学んだことを生かして助けを必要としている人の元に駆け付けたい」

(石井翔太)

週間ランキング

集計期間 08/10〜08/17

お知らせ

受付

苫小牧民報社から