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生態や渡りの経路解明へ オオジシギ捕獲ルポ

2016/7/25配信

 勇払原野に生息する準絶滅危惧種「オオジシギ」の生態を解明して生息環境の保全活動に役立てようと、日本野鳥の会(東京)が開始した保護調査プロジェクト。7月上旬から勇払原野でオオジシギを捕獲し、小型送信機や目印を装着して放す作業が進められている。数年かけて追跡調査し、日本で繁殖しオーストラリアで越冬するオオジシギの渡り経路や生態を明らかにする一大事業。同会職員らに同行し、捕獲の様子を取材した。(報道部 道谷学人)

 20日夕、同会職員3人とオーストラリアの研究チーム2人の計5人が、苫小牧市東部の勇払原野へ向かった。捕獲作業を行うのは、普段は立ち入ることができない野鳥が豊富なエリア。ゲートを解錠し、5分ほど車を走らせると、目の前に広大な湿地が広がった。

 捕獲に使用するのは、「かすみ網」と呼ばれる鳥類の捕獲専用の特殊な網。縦2・5メートル、横12メートルほどの大きな網で24枚を使用し、バレーボールのネットのように等間隔に設置したポールに張る。録音したオオジシギの鳴き声を流しておびき寄せる「コールバック」と呼ばれる手法を用い、網の周辺には計5台のスピーカーを設置。午後7時ごろ、すべてのセッティングを終え、少し離れた場所に張ったテントで休息を取った。

 オオジシギは4~6月に道内で繁殖し、7月上旬から南に向かって飛び始める。この時期は渡りに備え、天敵のいない夜間に湿地で餌を食べ、栄養を蓄えているのだという。

 網を張り終えてから2時間が経過した午後9時ごろ、周囲はもう暗闇。懐中電灯を持って網の確認に行くと、1羽のオオジシギが網に掛かっていた。今プロジェクトは、GPS(全地球測位システム)で位置を確認できる衛星追跡用送信機(40万円相当)を5羽に装着、その他の個体の足には、カラーフラッグと呼ばれるプラスチック製の目印を取り付けて放す。

 職員らは捕獲した個体をテントに移し、慎重な手さばきで捕獲した個体の体重やくちばし、翼、足、尾羽の長さなどを計測していく。この個体は小さいため、カラーフラッグを装着して放した。この一連の作業を空が明るくなるまで繰り返した。

 今月7日に開始した捕獲作業で、同会は25日までに5羽に送信機を装着、約100羽にフラッグを取り付けた。送信機の位置は同会のパソコンで確認可能。25日正午時点で5羽ともまだ渡りを始めておらず、勇払原野周辺にとどまっているもようだ。

 オオジシギは早い個体で8月上旬にはオーストラリアに上陸するという。同会保全プロジェクト推進室の田尻浩伸室長は、「渡りは多くの危険があり、すべての個体が無事に渡るとは限らない」とした上で「祈るような気持ちで無事に渡るのを待ちたい」と話す。今後はGPSの情報で渡りの経路を追跡するほか、全国の野鳥愛好家からフラッグが付いた個体の目撃情報を集め、研究に生かしていく。

 オオジシギの保護を目的に始まった一大プロジェクト。今回の個体が無事にオーストラリアへ渡り、再び苫小牧へ戻り、渡りルートが解明されることを祈っている。

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