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タンポポの分布調査結果 在来種、浜辺に根強く残ってた

2015/6/11配信

 苫小牧市美術博物館と市博物館友の会は、2014年に市内で行ったタンポポの分布調査の結果をまとめた。それによると、外来種セイヨウタンポポに駆逐され、苫小牧ではほとんど姿を消したとみられていた在来種が根強く生息していることが判明。また、林や海岸など自然度の高い場所に在来種、市街地には外来種の割合が多く、すみ分けの傾向も分かった。

 苫小牧でタンポポに特化した分布調査は初。昨年5月から6月にかけて美術博物館の学芸員、友の会の会員、一般市民でつくる調査グループが市内全域の183地点で、在来種のエゾタンポポとシコタンタンポポ、外来種のセイヨウタンポポの生息状況について調べた。

 この結果、元町や有明町、糸井などの海岸の広い範囲にシコタンタンポポが群生。株数が外来種より多い場所もあった。また、浜辺を好む植物ながらもウトナイ湖東側など内陸部でも確認した。

 エゾタンポポは、高丘の北大苫小牧研究林、丸山の国道276号沿いの森林帯、ウトナイ湖周辺、樽前ガロー付近など自然度の高い地域で多く見られた。日吉町、糸井、明野、勇払などの公園や緑地帯でも、外来種に混じって生息。森林帯に近い見山町では、エゾタンポポだけという地点もあった。

 一方、セイヨウタンポポは市街地の広い範囲に分布。中には、花の付け根にある総ほう片の形が異なる在来種と外来種の特徴を併せ持つ、交雑種とみられるタンポポも多くあったという。

 調査に当たった友の会の村上隆さん(74)は「外来種に押されて在来種が消えてしまったと思っていたが、自然が多く残った山側や海岸部に根強く生息していることが分かった」と話す。美術博物館の小玉愛子主任学芸員は「調査を継続しタンポポの分布を詳細に明らかにしたい」としている。雑種とみられるタンポポについては、市内で交雑して生まれたものなのか、本州方面から雑種の種が運ばれてきたものか、謎が残るとし、標本を研究者に送り鑑定中という。

 植物に詳しい北海道野生植物研究所(千歳市)の五十嵐博さんは、調査結果について「自然が破壊された市街地にセイヨウが入り込み、自然の林が残った山側にエゾが生える。海岸が好きなシコタンは海沿いにと、すみ分けしていることが分かる。内陸部の一部にシコタンが見られるのは、昔からあったものか、種が風で運ばれてきたものか、よく分からない」と言う。

 エゾは高さ20~40センチ、主に道東方面に分布するシコタンは同30センチ前後。一方、セイヨウは同10~25センチで、明治期に北米から日本に持ち込まれ、強い繁殖力で全国に広がったとされる。
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