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復旧に30カ月、26億円 高波被災のJR日高線

2015/4/29配信

 JR北海道の西野史尚副社長は28日、高波による被害で一部不通が続くJR日高線の災害対策工事に、少なくても約26億円が必要で順調に進展しても運転再開は2019年8月以降になるとの見通しを明らかにした。JRの工費負担能力は当面、1億円程度が限界との認識も示し、今後の進め方は国土交通省と相談した上、費用負担の在り方を検討していく考えを強調した。

 札幌市内のJR本社で記者会見した。同日は道や日高線沿線の日高、新冠、新ひだか、浦河、様似の日高管内5町とむかわ、厚真の東胆振2町にも幹部が訪れ、この方針を説明した。

 対策工事は、調査委託した鉄道技術総合研究所(東京)の報告を基に検討。被災箇所を含む厚賀(日高町)―大狩部(新冠町)5・5キロ区間を中心に護岸、斜面対策を進める。護岸対策では、線路脇の土砂の流出を防止する根固め工や消波ブロックの設置、のり面修繕を実施、斜面対策では山側に落石防止擁壁の新設や防護網の実施、既存設備の修繕などを見込んでいる。JRでは、護岸対策に約24億円、斜面対策に約2億円と試算している。

 安全対策の面から工事に着手できるのは4~10月に限られ、護岸、斜面対策を同時進行しても復旧までに最低30カ月が必要とし、施工後も厚賀―大狩部区間は時速25キロの徐行運転となり、通常運転(時速60キロ)より所要時間が10分以上長くかかるという。

 西野副社長は、被災箇所だけを元通りに戻す災害復旧の適用について「元に戻すだけなら安全な運行を確保できない」との認識を示した。災害復旧の場合、JRの負担が総工費の4分の1となるため「負担は厳しく、既存のスキームにない新たなものを(国交省に)相談させていただきたい」と述べ、今回に限り特別なスキームの適用の可能性を求める考えを示した。

 沿線自治体の負担要請は、国交省との協議後になる見通し。JRは既に海岸の詳細調査に着手し、28日からは対策工事に向けた準備も始めており、5月末には本格工事に向けた実施設計にも着手する予定。西野副社長は「今は運転再開に必要な対策を進めていく。廃線といったことは考えていない」と強調。工期が長引くことから「地域の要望に少しでも応えられるようにしたい」とも述べ、6月以降、バス代行運転を充実させる考えも示した。

 日高線の災害対策では、鉄道総研が提案する、最大57億円を要する別案も示されたが、「現状を考えると今回は諦めざるを得ない」とした。

 日高線は1月7日、低気圧による高波の影響で、線路脇の土砂の一部が海に流され、危険な状態から列車の運行ができなくなり、鵡川―様似(116キロ)間のバス代行運転が続いている。片道所要時間は列車に比べて約1時間長い2時間半ほどかかり、沿線の日高管内の自治体は、これまで早期復旧を求める要望書を提出している。
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