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苫小牧、鵡川、苫東を舞台に原発小説 馳星周さん新作「雪炎」

2015/2/23配信

苫小牧、鵡川、苫東を舞台に原発小説 馳星周さん新作「雪炎」

 浦河町出身で苫小牧東高校卒の作家、馳星周(はせ・せいしゅう)さんの新作「雪炎(せつえん)」(四六判、483ページ)がこのほど、集英社から発行された。原子力発電所や原発利権を問う小説で、苫小牧や鵡川の地名、苫小牧東部工業開発計画という名の国家プロジェクトが登場する。馳さんは苫小牧民報社に文面で「原発のある自治体でどんなことが起こっているのかを知ってもらいたい」と今作への思いを明かした。

 物語は3・11から1年後、北海道・道南市という架空の原発立地自治体で行われる市長選を軸に進んでいく。反対派の弁護士と、立地によって生まれる何十億円もの利権に群がる者たちの策謀の中で悲惨な事件が起きる。馳さんは「原発のある自治体で、そこに暮らす人々が何を考え実際にどんなことが起こっているのかを、都会でやみくもに『原発反対』と叫んでいる人々に知ってもらいたい、というのが、そもそもこの作品を構成した最大の動機です」とする。

 寂れていく地方都市を舞台にした連作短編小説を書こうと福井県敦賀市を訪れた中で「原発がありながら経済が下降線をたどっていく町の実態を知りたくて、取材を始めました」という。この取材は後の原発をテーマにした小説「光あれ」(2011年)につながった。

 今作の執筆に当たり、泊原発(後志管内泊村)、浜岡原発(静岡県)、美浜原発(福井県)など日本各地の原発のある自治体を延べ1カ月程度、訪ね歩いた。苫小牧近郊の地名や風景を使ったのは「原発があっておかしくない場所と考えた時に、真っ先に苫小牧東部工業開発地帯の跡地が頭に浮かびました。(当初の)計画は頓挫しましたが、そこに電力を供給するために鵡川原発が誘致されたということにすれば、リアリティーが増すと考えたからです」とする。

 馳さんは「原発が動かないと町の経済がダメになる、と多くの人が思い込まされています。原発が稼働していた時にも、地方経済は下降線をたどる一方だったのだから、原発が動いても長い目で見れば何も変わりません」と指摘。「これは、国と電力会社が長い時間をかけてそういうふうに人々を飼い慣らしてきた結果です。この仕組みを変えない限り、日本から原発はなくなりません。正論を声高に訴えていても無意味なのです」と訴えている。

 「雪炎」はWonderGOO(ワンダーグー)苫小牧店(若草町)などで取り扱っている。税抜き1800円。


 馳星周 1965年、浦河町生まれ。長野県軽井沢町在住。苫小牧東高校、横浜市立大学卒業で「高校時代は門別町富川(現日高町)から苫小牧に列車通学していた」と言う。96年、後に映画化された「不夜城」で作家デビュー。同作で第18回吉川英治文学新人賞を受賞。短編「約束の地で」(集英社文庫)でも道南地方を舞台に小説にしている。

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