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警戒レベル「平常」の樽前山は大丈夫か 御嶽山噴火に地元衝撃

2014/9/29配信

 長野と岐阜の県境にある御嶽山(3067メートル)が27日に噴火し、多数の死傷者が出て、苫小牧市と千歳市の境にある樽前山(1041メートル)の関係機関も衝撃が受けている。噴火警戒レベルが「平常」の中の噴火だった。現在同レベルの樽前山に噴火の危険性はないのか。

 秋の登山シーズンを迎えた樽前山には続々と登山客が押し寄せており、日曜日の28日には200人以上が登った。29日も平日にもかかわらず登山者が多く、午前10時半で7合目の駐車場はほぼ満杯。7合目ヒュッテ管理人の太田敏彦さんは「逃げ場がヒュッテしかなく登山道が狭い樽前山では、仮に噴火したら大きな被害が出るだろう」と話す。

 樽前山は3~4年前からの登山ブームで、中高年の初心者や20~30代の若い女性、通称山ガールなどの入山者が年々増加。2013年度は登山名簿に記入した人だけで約2万4000人を数えた。記入しない人もいるので、実際は3万人以上ではないかとみる関係者もいる。その中には、サンダルやハイヒールなど登山に向かない靴で登ろうとする人や水や食料を満足に持たない人も多い。太田さんは「山はリスクのある場所。それなりの装備で登ってほしい」と警鐘を鳴らす。

 7合目ヒュッテには、ヘルメットが約50個とガスマスクがあるが、全て防災関係者分で、一般登山者の分まではない。AED(自動体外式除細動器)は配備されているが、緊急用の水や食料もない。

 苫小牧市危機管理室の山口康男室長は「御嶽山の噴火で樽前山の警戒を怠らないようにしなければと改めて感じた。レベル1だからといって絶対に安全とは言い切れないので、登山者の皆さんにも備えや心構えをしてほしい」と呼び掛ける。市としては室蘭地方気象台などの専門家を招いて火山を含めた自然災害の研修の機会を検討している最中だったという。「防災訓練や庁内の連絡体制の確認なども継続し、万が一に備えたい」(山口室長)としている。

 現在、日本には110の活火山があり、気象庁では東京、札幌などの各管区気象台に火山監視・情報センターを置いて監視している。このうち、火山防災のために監視・観測体制の充実などが必要な火山として、さらに火山噴火予知連絡会が47火山を24時間監視の常時観測火山に指定している。道内では樽前山や倶多楽、有珠山など9火山が対象。地震計や傾斜計、GPS(全地球測位システム)観測装置、遠望カメラなどで監視している。

 噴火警戒レベルは1(平常)から5(避難)までの5段階あり、樽前山は29日現在でレベル1。札幌管区気象台火山監視・情報センターは「樽前山は溶岩ドーム付近から突発的な高温ガスが噴出する危険性があるので、外輪山から内側には入らないようにしてほしい」と呼び掛けている。
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