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悲しみ乗り越え、田植えスタート 励ましや支援で農業継続-厚真町幌内の山本さん

2019/5/25配信

 胆振東部地震の土砂災害で家族3人を失い、田畑も大きな被害を受けた厚真町幌内の山本隆司さん(54)が悲劇を乗り越え、今季の田植えを開始した。周囲の励ましと支援を受けて失意のどん底からはい上がり、農業を再開。「まずはほっとしている」と安堵(あんど)の表情を浮かべる。

 山本さんは昨年9月6日未明の胆振東部地震により、自宅裏で土砂崩れが起き、家が丸ごと押し倒された。2階で寝ていた山本さんは土砂に埋まりながら奇跡的に助かったものの、1階にいた父の辰幸さん(当時77)と母のリツ子さん(同77)、妹のひろみさん(同50)は行方不明となり、その後遺体となって発見された。

 突然、家族を失ったショックは大きかったが「なりわいとして農家を続けるか、別の仕事をするか」―。分岐点に立った。

 そんな中、親戚や地元関係者、北海道中小企業家同好会美苫みのり会など周囲の励ましを受けて農業再開を決意。田んぼや畑には土砂が残り、20ヘクタールあった水田は半分以下になったが国や道、JAとまこまい広域(本所厚真町)の支援も得て、23日に新調した田植機で田植えをスタートさせ、「ななつぼし」や酒米「彗星」の苗を植えていった。

 労働力不足を補うため、JAからも連日、3人ほどが手伝いに駆け付ける。JAとまこまい広域そ菜園芸課の井原巧太さん(22)は実家が農家でこの春、JA入り。「今までは親の仕事を見ていただけだったが、少しでも力になれたら。農家さんのためになるなら、何でもやる覚悟」と思いを語る。

 「来年以降は作付けも増えてくるし、ハウスも増築して管理する人手が必要。また大変になる」と山本さん。それでも亡き家族の思いを背負い、黙々と作業に励む。

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