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苫小牧市立中央図書館の警察への情報提供 不安の声相次ぎ一定配慮

2019/5/20配信

 苫小牧市立中央図書館が昨年11月、警察の任意協力に応じて利用者情報を提供していた問題で、市教育委員会は新たに図書館の情報提供に係る対応ルールを策定した。当初は利用者個人の図書予約や貸し出し記録などの情報提供に「問題はない」としていたが、報道などを通じて知った市民や各団体から不安の声が続出。個人情報の取り扱いに慎重な対応を求める市民の意見に一定の配慮を示した格好だ。

 ■問われた情報の扱い方

 「個人情報を簡単に警察へ提供することについてはちょっと…という思いが正直あります」―。

 今年2月に開かれた市図書館協議会の臨時会議。特定人物の図書貸し出しや予約に関する情報が警察に提供されていたことが昨年11月に新聞報道されたことをめぐり、委員から不安や懸念の声が挙がった。

 市教委によると、警察から依頼があったのは2017年4月14日。強制捜査の捜索差し押さえ令状がない任意での捜査協力依頼について内部で対応を協議。警察側が提出した刑事訴訟法に基づく捜査関係事項照会書を踏まえ、市教委が図書館側に指示。訪れた署員に関連情報を手渡したという。

 臨時会議では、委員の一人が「新聞報道がなければわれわれに説明する予定はなかったのか」と質問。市教委は、個人情報保護条例を踏まえた上でも今回のケースは「問題はないと判断した」などと理由を述べた。

 ある職員は取材の中で、日常的な警察との協力関係を強調。今回の内容を細かく市民へ説明することで「警察の捜査に支障が出かねない」と慎重な姿勢を見せた。捜査に関する内容を十分把握しきれないまま、プライバシーを侵害する可能性がある情報提供を図書館がどう取り扱うか。報道で明るみにならなければ、当事者間のやりとりは今も続いた可能性がある。

 ■情報提供を断る指針も

 全国の図書館や図書館員などで構成する公益社団法人日本図書館協会(東京)は「図書館の自由に関する宣言」の中で、国民の知る自由や思想信条を保障するため、捜査機関への個人情報の提供について慎重な取り扱いを求めている。警察から任意捜査の捜査関係事項照会書が提出されても、「緊急性がない」と図書館側が判断すれば情報提供を断る指針を示している。

 苫小牧では昨年11月の新聞報道以降、市民の1人が市教委に図書館における個人情報の取り扱いに慎重な対応を求めて市議会に陳情した。要請書を市教委に提出した苫小牧地区労連の横山傑議長は「思想信条に関わるような図書館の情報は提供しないことが原則であるべき。警察への提供は特別なケースと考えて対応してほしい」と訴える。

 ■提供する内容を制限

 市教委は警察への情報提供に対する独自ルールを決め、図書館協議会にも4月23日の臨時会議で考え方を示し、意見を仰いだ。

 市教委がまとめたルールによると、任意段階の捜査協力要請があれば市教委が直接対応。提供内容も▽図書利用登録の有無▽資料の予約、貸し出しの各日時▽資料の返却期限▽データ登録日▽図書カードの発行日▽利用した場所―などに限定した。図書の履歴データは原則貸し出し中と予約中の図書に限り利用者情報が確認可能で、返却後は個人データから過去に借りた書籍などの情報特定はできなくなる。ただ、図書の破損事案などを考慮し、個々の書籍からは前回と前々回までの利用者情報が分かる仕組みだ。

 市教委は今回のケースで本のタイトルを伝えていたが、今後の同様事案では提供せず、防犯カメラも不特定多数が映る映像データなどは出さない。

 個人情報の取り扱いに詳しい中央大学の石井夏生利教授は警察の捜査に伴う情報提供について「対応マニュアルの作成が有効。捜査関係事項照会は包括的に情報を求めるため、本人の思想信条を推察できる情報は捜査令状を基本にすべき」と指摘している。

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