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3断層、同時に動いた可能性 日高山脈の地盤同士が衝突「ひずみが蓄積」-胆振東部地震の調査研究班

2019/3/18配信

 昨年9月に起きた胆振東部地震の発生原因などを総合的に調べている北海道大学などの研究班が17日、苫小牧市民会館で、調査研究報告会を開いた。北大地震火山研究観測センターの勝俣啓准教授は、同地震を誘発した断層について、「日高山脈周辺で蓄積されたひずみにより、三つの断層が同時に動いた可能性がある」と説いた。

 「平成30年胆振東部地震とその災害に関する総合調査」研究班の主催。北大をはじめとする道内外の研究者12人が土砂災害対策などを含めた研究成果を発表した。市民など約140人が出席した。

 勝俣准教授は、今回の地震で、日高山脈の地盤同士の衝突が見られたことに着目。衝突による地盤の変形や破壊は数万年単位の時間で続いているとし、「衝突に起因した地震は、浦河や帯広などの同山脈周辺でいつ起こるかは分からない」と注意喚起した。

 同大工学研究院の岡田成幸特任教授は、店舗兼住宅が並ぶむかわ町内の中央通りで建物の倒壊が集中したが、その他の地域では民家の倒壊が少なかったことを紹介し、道内の住宅の耐震性は比較的高いと指摘。その上で、1982年の浦河沖地震と胆振東部地震の建物被害率がほぼ同規模だったことに触れ、「住宅の耐震化が進んでいない。シロアリによる柱の腐食も散見され、助成制度を含め改修に向けた取り組みを急ぐべき」と訴えた。

 総合討論では、同大農学研究院の小山内信智特任教授が想定外の範囲まで土砂が到達したことに関して、「厚真町周辺では地中データの蓄積が不十分。今後調査を重ね、危険な地域を再評価をすべき」と強調。その上で、同町では、豪雨対策のコンクリート製の格子状のり枠がある斜面では土砂崩れが起きなかったとし、土砂崩れ対策としての有効性を力説した。

 厚真町役場の臨時職員小松豊直さん(63)は「宅地の耐震化事業に関わっており、今後の事業に生かしたい」と話していた。

 同研究班は道内外の16機関、54人の研究者で構成され、文部科学省から約3000万円の調査研究費の交付を受けている。

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