被災3町の中学校で卒業式 仮設校舎の安平早来中「私たちなら前へ進める」
2019/3/14配信
胆振東部地震で大きな被害を受けた厚真町、安平町、むかわ町の中学校が14日、一斉に卒業式を行った。地震後、仮設校舎で学ぶ安平町早来中は、早来小学校の体育館を会場に実施。卒業生47人が、たくさんの思い出を胸に巣立った。
式では、入場する卒業生を在校生64人をはじめ来賓、保護者ら計約200人が拍手で迎えた。
卒業生は名前を呼ばれると一人一人、村田宏文校長から卒業証書を受け取った。村田校長は「地震を経験したみんなは、地震とつながっていかなくてはいけない」と強調。強く生き抜くこと、本当に大切なものや幸せとは何かを考え続けること、地震の経験を未来に語り伝えていくことの三つの宿題を抱えているとし、「地震を通して今まで以上に優しい心や感謝する心を持てたことを、未来にもつなげて」と呼び掛けた。
在校生代表の佐藤大夢(ひろむ)さん(14)は「(元の)校舎には二度と戻ることはできないが、共に過ごした時間は、今後どんな余震が起きても奪われるものではない。見守り、支えてくれた先輩に感謝したい」と述べた。
卒業生代表の木村元飛(かんと)さん(15)は昨年9月、学校祭の準備中に被災したことに触れ「日常生活もままならない中、学校祭開催を諦めなかったのは先生や地域、ボランティアなどの協力があったから」と感謝。「早来中で学んだ私たちなら少し遠回りをしても前へ進める」と力を込めた。最後に全校生徒による合唱が行われ、出席者は笑顔と涙、大きな拍手の中、卒業生を見送った。
安平町ではこのほか、追分中の24人が卒業。厚真町2校34人、むかわ町2校45人も中学校生活を終え、新たな一歩を踏み出した。
学びやに別れ、新たな一歩 苫小牧の中学校でも
苫小牧市内の中学校14校も14日、卒業式を行った。卒業を迎えた生徒たちは、中学校生活の思い出と感謝を胸に刻み、学びやに別れを告げた。
啓明中(大橋祐之校長)では、102人の卒業生が保護者や在校生らの温かい拍手に迎えられて入場。壇上で、大橋校長から卒業証書を受け取った。
大橋校長は「みんなが手にした卒業証書は成長の証し」と強調。3年間の努力をたたえた。
在校生代表で、生徒会長の黒田凌大さんが「3年生の気迫あふれる合唱が胸に残っている。これからも皆さんの姿を目標に頑張る」と送辞。卒業生代表の髙木幸大さんは「3年間はあっという間だった。未来と夢のために別々の道を歩む」と新生活への誓いを述べた。
市内の卒業式は、啓北中山なみ分校が13日に実施、小学校は18~20日に行われる。