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日本製紙勇払事業所洋紙生産停止発表から半年 新規事業への期待感も

2018/12/3配信

 日本製紙が5月28日、北海道工場勇払事業所(苫小牧市勇払)の洋紙生産を2020年1月に停止すると発表してから半年が過ぎた。主力の事業から撤退することで、協力会社を含む500人規模の従業員は大幅に縮小する見通し。現時点で従業員約30人の木質バイオマス発電所建設はほぼ固まったが、勇払地区は居住人口の減少による経済や地域コミュニティーの衰退が避けられない情勢だ。同社が検討している新規事業に期待する声はあるものの、先行きは不透明で住民らの不安も増している。

 ■情報なく市や住民も困惑

 「バイオマス発電以外の新しい情報はまったく入ってきてない」

 日本製紙が勇払事業所の洋紙生産を停止すると発表してから半年たった11月下旬、記者の質問に市産業経済部の幹部は表情を変えずにそう語った。

 今年5月末、同社が苫小牧で記者会見を開いて突然発表した内容は▽洋紙生産を20年1月に停止し、協力会社を含め500人規模が勤務する勇払事業所を大幅縮小▽工場敷地内に木質バイオマス発電所を建設▽新規事業の検討―など。洋紙生産から身を引くという決断の背景には、社会のデジタル化による紙消費の減退がある。主力の新聞用紙の生産量も購読世帯の減少で右肩下がりの状況にあり、情勢は厳しい。

 洋紙生産の撤退発表後、同社からの新たな情報はなく、11月上旬に開かれた市立地企業審議会で木質バイオマス発電所が30人規模で運営することなどが分かったものの、新規事業などの情報は今も得られていない。

 市産業経済部の幹部は「洋紙生産の停止までには何らかの説明があるのではないか」と期待感を示すが、主力事業の撤退により地域経済への影響は避けられないことから「岩倉市長が年末あいさつで上京した際に改めて日本製紙側に確認したい」と情報収集を進める考えを示す。

 ■地区人口は2千人割れ目前

 勇払事業所の洋紙撤退で、勇払地区の住民が何より懸念しているのが地域の過疎化の進行だ。市がまとめた今年10月末現在の地区人口は2003人。1973年ごろのピーク時には約5800人が生活したが、高齢化による自然減や転出などで減少傾向が続き、間もなく2000人を割り込む見通しだ。「日本製紙の社宅や寮からの退出で、さらに300人規模で減少する可能性がある」とみる地元関係者もおり、人口流出による地域の衰退を心配する声が広がっている。

 市内東部11地区の人口数推移を見ると、過去1年間で減少しているのは勇払、植苗、美沢の3地区。これに対し東開町、ウトナイ北、ウトナイ南、拓勇東町、拓勇西町、北栄町、沼ノ端の7地区は増加傾向にあり、その格差は拡大している。

 こうした現状に勇払自治会の萬誠会長は「2000人を割り込むことは間違いないが、手の打ちようがない」と受け止める。勇払事業所の動向については「バイオマス発電事業の他、新規事業の話もあり、その動きを見ていきたい」と言う。人口減による地域の衰退に「自治会での協議や市に相談する必要があるかもしれない」とするが、当面は事態を見守る構えだ。

 勇払商工振興会の忠鉢豊和会長によると、勇払地区の商店や事業所の経営者は多くが高齢。後継者もなく廃業を予定する人も多いが、「人がいなくなれば買い物需要も減る。廃業する時期を早める人も出るのではないか」とみる。人口減に限らず、製紙の停止により、地区で唯一の内科系医療機関の日本製紙北海道工場勇払診療所がどうなるか、不安を抱く住民もいる。

 市まちづくり推進課は、勇払地区の住民に広がる懸念について「生活が著しく不便にならないよう方策を考えたい」と話している。

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