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北海道胆振東部地震

両陛下、被災者お見舞い 救助関係者をねぎらう

2018/11/16配信

 天皇、皇后両陛下は15日、胆振東部地震で最大震度7を観測し、甚大な土砂災害が発生した厚真町を日帰りで訪問された。両陛下は被災者に優しく寄り添い、「大変でしたね」などと言葉を掛け、気遣った。

 両陛下は羽田空港から特別機で同日午後、新千歳空港に到着。その後、マイクロバスで厚真町へ。同町では町総合ケアセンター「ゆくり」で高橋はるみ道知事から被災状況の説明を聞いた後、再びマイクロバスに乗車。土砂災害で多くの人命が奪われた吉野地区を見渡せる現場を訪れ、宮坂尚市朗町長の案内で視察した。

 天皇陛下は犠牲者について「米作りの名人もいたそうですね」と語り、宮坂町長が困難を極めた捜索活動の状況を伝えると、天皇陛下は「手作業で探して、運び出したことは本当に大変でしたね」と述べた。

 再び同センターに戻り、犠牲者の遺族や被災者、救助活動に当たった関係者ら42人と面会し、一人ひとりに言葉を掛けた。仮設住宅に住み始めた被災者に対し、天皇陛下は「お体の具合は」、皇后さまは「落ち着かれましたか。寒くないですか」などと話し掛けた。町内の自治会長の男性に対して、天皇陛下は「被災された人のために随分と尽力されたんでしょうね」とねぎらった。

 また、4年前に同町に移住した女性が1995年の阪神大震災も経験したことを知った皇后さまは、手を握り「大変なことでしたね」と気遣うと、女性が「ありがとうございます」と涙ぐむ場面もあった。

 一方、両陛下は同日、被災者支援のため、宮内庁の山本信一郎長官を通じて北海道に対し金一封を贈った。
 9月6日発生した胆振東部地震では41人が亡くなり、うち土砂災害が起きた厚真町では36人が命を落とした。

被災者に励ましの言葉「ありがたい」「強く生きる」

 15日、胆振東部地震で大きな被害を受けた厚真町を日帰りで訪ね、被災者を見舞われた天皇、皇后両陛下。大規模な土砂災害が発生し、多くの犠牲者を出して今も約50人が避難生活を続ける同町だが、お二人の心遣いに触れ、遺族や被災者などからは「励みになった」「頑張っていきたい」と感謝の声が相次いだ。

 同日午後1時、両陛下を乗せたマイクロバスが厚真町の総合ケアセンター「ゆくり」に到着。沿道に集まった人たちに両陛下はほほ笑み、手を振って応えた。沿道で見送っていた同町表町の森本鎮男さん(83)は「こんな寒い時期に厚真町までよく来てくれた。ありがたい」と話した。

 両陛下は、19人の犠牲者を出した吉野地区を見渡せる被災現場も視察。近くに住む畑垣郡子さん(85)は「親戚に亡くなった人もいて悲しいけれど、(両陛下に)訪問していただき、励まされた」と目を細めた。

 被災現場の視察後、再び、ゆくりに戻って被災者ら42人と面会した。土砂崩れで、両親と祖母を亡くした町職員の中村真吾さん(42)は皇后さまから「大変だったでしょう」「これからも元気でお過ごしください」などと言葉を掛けられたという。「天国で両親も祖母も喜んで聞いてくれたと思う。この言葉を支えに感謝の気持ちを忘れず、強く生きていきたい」と力を込めた。

 同町鹿沼の自宅が全壊し、夫と子ども4人と2カ月の避難所生活を経て、今月から仮設住宅で暮らす山崎三枝さん(36)は両陛下から避難所生活や子どもたちについて気遣ってもらい、「お二人の優しさが伝わり、気持ちがほぐれた」と振り返った。

 自宅が半壊し、土砂崩れでいとこを亡くした農業の佐藤泰夫さん(63)は「励ましの声を掛けてもらった以上、仕事や生活を立て直したい」と力強く語った。

 両陛下は厚真町を去る際もマイクロバスから、沿道の被災者らに手を振り続けた。

 宮坂尚市朗町長は両陛下の訪問について「震災から立ち直るきっかけになる。必ず復興して下さい―との言葉もいただいた。両陛下の思いをしっかり受け止め、復旧復興を必ず果たしていきたい」と決意を述べた。

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