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北海道胆振東部地震

胆振東部地震から2カ月 厚真、むかわ、安平で生活再建へ第一歩

2018/11/6配信

 全道で41人が死亡し、約750人がけがを負った胆振東部地震は、6日で発生から2カ月を迎えた。北海道で初めての震度7を観測した厚真町や近隣のむかわ町、安平町の胆振東部3町では、地震で家を失った人たちの応急仮設住宅が完成し、1日から入居が開始。被災者が生活再建へ一歩を踏み出した。打撃を受けた商工業や農業も少しづつ再興への歩みを進めている。

 ■仮設住宅が完成

 道の集計(5日現在)によると、3町の住宅被害は全壊と半壊を合わせて1100戸に達している。家を補修したりして住み続ける人もいるが、居住を諦める人も多い。こうした中で道は3町に計130戸の仮設住宅を整備。123世帯から128戸の入居希望があり、1日から引っ越し作業が続いている。さらに道は追加分として3町に計93戸を建設。今月末に完成する予定で、希望者全員が入居できる見通しが立った。

 2カ月近い避難所生活を終え、仮設住宅で暮らし始めたむかわ町の深根由章さん(69)は「避難所では物音を立てないよう気を使っていたが、ようやくプライバシーが確保され、気持ちが安らぐ」と話した。安平町の小坂敬子さん(76)は愛犬と離れたくないため、全壊となった自宅で暮らしていた。仮設住宅はペットの飼育が可能のため、引っ越すことに。「家はひどく傾き、寒くて仕方なかった。ここはとても暖かくていい」とほっとした表情を見せた。

 ■入居者のケア重要

 仮設住宅の暮らしには課題もある。厚真町で支援活動に当たる東北大学災害科学国際研究所の定池祐季助教は「東日本大震災の際、仮設住宅の入居者が、緊張の糸が切れて体調を崩す人が続出した」と指摘。入居者の孤立を防ぐ対策も不可欠で、声掛けや相談対応が重要という。このため、厚真町では生活支援相談員を2人採用し、保健師と共に入居者の心身をケアする活動を展開する考え。むかわ町の仮設住宅では自治会立ち上げの動きもあり、入居者のコミュニティーづくりのモデルケースとして期待される。

 仮設住宅の入居期間は原則2年間だけに、その後の住まいの確保も課題だ。厚真町の仮設住宅で1人暮らしの80代女性は「この年になってどこへ行けばいいのか」と嘆き、先行きが見えない将来に不安を感じている。こうした声を受け、3町は自力での住宅確保が困難な被災者のために災害公営住宅の建設を視野に入れるなど、まちの復興では住宅整備を優先課題に挙げる。

 ■仮設店舗も計画

 3町では商工業や基幹産業の農業も大きな被害に遭った。各町の商工会のまとめによると、地元の企業や工場、商店などの被害額は厚真町35億円、安平町6億円、むかわ町18億円の計59億円に上る。店舗が全壊となって営業できなくなった事業所も少なくないため、3町はそれぞれの町に仮設店舗を整備し、店を営んでもらう計画だ。各町は年内に着工、来春の完成を目指している。

 仮設店舗の建設に、被災した店主らも喜ぶ。安平町で菓子店を営んでいた佐藤けい子さん(70)は「常連客に早く商品を届けたい」と意気込んだ。

 農業では各町のまとめで、厚真町で89億6000万円、安平町で60億円、むかわ町で28億円の被害額となった。特に甚大な土砂災害に見舞われた厚真町では、水田や用水路に多大な被害が出た。とまこまい広域農業協同組合によると、同町内の稲作農家188戸のうち、少なくても40戸が被災。全体で1500ヘクタールある水田の15%に当たる230ヘクタールが土砂で埋まり、米の収穫ができなかった。

 同町の稲作農家石橋公昭さん(56)は、宇隆地区の山際にある田んぼの約2ヘクタールが土砂で埋まり、用水路も土砂でせき止められた。「自力再建はとても無理。国に支援を求めたい」と切実に訴えた。

 同農協は胆振総合振興局や町などとチームを組んで、組合員に被害状況や今後の経営方針を聞き取り、「復旧に向けて国などの補助金がどれだけ適用できるか、年内にも見通しを付けたい」と言う。

 国も対策に動きだした。今月1日の衆議院予算委員会で吉川貴盛農水相が厚真町で被災した用水路を応急復旧し、来年には農業用水を使えるようにする方針を打ち出すなど、農業復興への歩みも着実に進みつつある。

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