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北海道胆振東部地震

公的支援なく再建悩み 厚真、むかわ、安平の寺社も被害多数-胆振東部地震

2018/10/5配信

 胆振東部地震では、寺や神社も被災した。厚真、むかわ、安平の3町に約40ある寺社に何らかの被害が見つかり、再建に多額の費用が掛かるケースも確認されている。政教分離の原則などで直接の公的な支援は受けられず、関係者は頭を悩ませている。

 最大震度7を観測した厚真町軽舞の正楽寺の本堂は建物が束(つか)石から約50~60センチずれ落ち、地面に着いた状態となっている。

 複数本の柱が傾き、屋根の装飾品も落下。本堂にあった仏像や仏具は損傷し、一時的に別の部屋に移した。5代目住職の金光朋充さん(58)は「明治末期に富山県からの移住者が中心になって山の木を集めて寺を建てた。これまで大事に使ってきた本堂が無残な姿になり、とても悲しい」と話す。

 納骨堂も大きく傾き、倒壊の危険性があるため、内部に納められた約140人の遺骨を回収。大半の遺骨を遺族が一時的に保管している。約1ヘクタールの敷地には幾筋もの地割れが生じ、裏庭の橋も崩れた。灯籠も割れ、地震の爪痕が深く刻まれている。

 本堂の建て替えなどに、少なくとも1億円は掛かると試算。私財をかき集めた上で、京都府にある寺の上部組織からの補助金で費用を捻出したい考えだが、全く足りないという。寄付を受け付けようにも、約180人いる門徒の多くも被災。住宅が全壊した人もおり、資金集めは難航を極める。

 毎年正月の三が日には約3000人の初詣客が訪れる厚真神社も、再建の時期を見通せない。激しい揺れは境内の三つの鳥居を破壊。高さ約6メートル、直径約50センチの柱まで真っ二つに折れ、地面に横たわっている。「厚真神社」と書かれた社号標の石板も半分に割れ、崩れ落ちた。

 厚真神社は1895年に同町朝日に建立され、1900年に町内新町に移った。約20カ所の集落の祭事に関わるなど、地域住民の暮らしに深く根付いてきた。4代目神主の黒沢寿紀さん(75)は「地震でほとんどの氏子が被災し、どのような方法で再建すればよいか悩んでいる」と頭を抱えつつ、「初詣は破損を免れた賽(さい)銭箱を置いてたくさんの人を受け入れたい」と力を込めた。

 このほか、むかわ町の永安寺で本堂の屋根が東側に傾いたほか、安平町の早来神社も屋根が崩落するなど各地で地震による被害が相次いだ。

 胆振総合振興局によると、3町の寺社数は37。内訳は厚真町6、安平町16、むかわ町15となっており、各所で大なり小なりの被害が出た。

 文化庁によると、寺や神社などの宗教法人は、憲法の政教分離の原則により、補助金の受給など公的支援を受けられない。住居と一体化した施設への助成が法的に可能かどうかの解釈も不明確で厚真町などは、住居一体型施設への助成制度の適応について「現段階で回答はできない」としている。

 全日本仏教会や神社本庁など関係機関・団体は、胆振東部地震の被害状況を取りまとめ中。神社本庁は最大20万円の見舞金や約100万円の復興支援金を出すなどの支援制度の周知を進めているが、同庁総務部は「公的な経済支援もあれば、被災神社は非常にありがたいはず」としている。

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