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苫小牧西港、土木遺産に 世界初の掘り込み建設を評価

2018/10/3配信

 土木工学の専門家でつくる土木学会(本部東京)は、苫小牧港・西港の「大規模掘込港湾施設」を2018年度の土木遺産に認定した。平坦で広大な砂浜と原野に造られた世界初の掘り込み式港湾として55年前に供用開始。北日本最大の国際物流港湾として発展し、存在感を高めている。当時の港造りで採用された先端技術はその後の国内の港湾整備にも応用され、土木技術の向上に貢献した点も高く評価された。

 土木遺産の認定制度は、歴史的な土木施設とその役割について考える財産として生かし、後世に伝える目的で2000年から始まった。18年度は国内で24件が新たに加わり、認定総数は394件。道内では、苫小牧西港と千歳市の支笏湖にある「山線鉄橋」の2件が選ばれた。苫小牧市内では、16年度に認定された「開拓使三角測量基線―勇払基線」以来、2件目となる。

 苫小牧西港は1951(昭和26)年8月に着工し、63年4月に第1船の入港を迎えて供用を開始した。土木遺産に認定された対象は、西港の港口から約7キロある掘り込み水路と、東と西の各防波堤。土木学会北海道支部は「苫小牧港の建設技術はその後、道内にとどまらず全国の掘り込み式港湾の開発に役立てられ、大きなブレークスルー(技術の飛躍的進歩)となった」と評価する。

 西港建設に当たっては、外洋に面した自然の砂浜に本格的な掘り込み式港湾を造るという前例のない試みを採用。工事は困難を極めた。砂の流れのデータ蓄積もなかった中、アイソトープ(同位元素)を用いた画期的な調査を54年から62年にかけて行い、砂の移動や拡散の状況を把握し防波堤造りに役立てた。

 内陸の掘り込み工事は60年から着手し、終点の勇払埠頭(ふとう)まで水路が到達したのは76年。17年間にわたった大規模工事となり、掘削面積は4万平方メートル、取り除いた土砂は7200万立方メートルに及んだ。土砂は西港臨海部の工業用造成で低湿地の埋め立てに活用した他、明野やウトナイ地区の土地造成にも役立て、苫小牧の工業地帯の形成につなげた。

 苦難の工事の末に誕生した苫小牧西港は、国際拠点港湾として国内物流を支え、苫小牧の成長を促してきた北日本最大の港に発展。胆振東部地震の災害時には、被災地支援の人員や支援物資の輸送面などでも活躍した。

 今回の認定を受け、苫小牧港管理組合港湾振興室の池渕雅宏室長は「当時の技術的な価値やその後の国内の港湾発展に寄与した側面にも光が当たり、うれしく思っている」と喜ぶ。港の歩みを紹介する常設展示も構える苫小牧市美術博物館の武田正哉学芸員は「5年前の開港50年を契機に港造りの資料収集に力を入れてきた。今回の認定も生かしながら、苫小牧港の価値を市民に広く知ってもらう機会を改めてつくっていけたらと思う」と話している。

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