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北海道胆振東部地震

むかわ町穂別・大正時代から続く窪田旅館 胆振東部地震で建物損傷し閉館へ

2018/9/27配信

 むかわ町穂別で長年、町民らに親しまれてきた窪田旅館が10月に閉館することになった。親子4代で、100年近く続いてきた常連客の多い人気旅館だったが、胆振東部地震で建物が甚大なダメージを受け、やむを得ず廃業を決意。経営者一家は同月から札幌市内に転居し、新しい生活を始める予定だが、地域からは励ましの声が相次いでいる。旅館関係者は「穂別の方々には大変お世話になった。どれだけ感謝してもし切れない」と口をそろえる。

 旅館は1923年ごろ、窪田外次郎氏が現在と同じ場所で創業。3代目の女将、多妓子さん(80)によると、昭和初期から木造2階建ての建物で営業している。59年に増築、木造2階建て、延べ床面積約660平方メートルの空間に12部屋を設けた。

 旅館は55年から74年ごろまでが最も忙しく、炭鉱労働者などが宿泊し、多い日には1日30人が利用した。部屋の間仕切りを取り、地域住民が結婚式場として利用することもあったという。地元農家から仕入れた米や野菜を調理し、各部屋に配膳した。恐竜化石を生かしたまちづくりをしている地域で、化石の愛好者を含め道内外から利用者が絶えず、何十年も付き合いのある常連客もいる。

 6日未明の地震で、旅館と隣の自宅が被災。建物が傾き、壁にひびが入った。廊下を歩くときしみ、建物内に食器や家具などが散乱した。宿泊客は無事だったが、暗闇の中、懐中電灯を探して屋外に避難した。7日以降、被害を心配した東京都、奈良県、京都府など全国各地の常連客から励ましの電話が相次いだ。

 宿泊予約は10月以降も入っていたが、旅館と自宅が住めないほど損傷し、16日に閉館を決めた。苦渋の選択だった。多妓子さんは愛着のある穂別を離れるべきか悩んだが、長男敬一さん(56)から「建物を使い切ったね。100年間」と声を掛けられ、少し気持ちが楽になった。

 最近は地域住民やボランティアらが旅館に駆け付け、率先して建物内の片付けを手伝い、励ましの言葉もかけている。スイカや米、餞別(せんべつ)を贈る住民の姿もある。旅館で使用されてきた食器は希望者に提供され、喜ばれているという。

 多妓子さんや敬一さんら家族4人は、近所へのあいさつ回りを経て、お礼と転居先を記載した文書などを手渡し、直接感謝の言葉を告げることにしている。

 近く廃業届けを出し、来年にも建物を取り壊す予定。多妓子さんは「地震でお客さまにけががなくてよかった。いろいろな人に支えてもらい、幸せな人生を送ってこられた。機会があれば、また穂別を訪れたい」と語った。

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