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北海道胆振東部地震

ハスカップ畑に甚大被害 厚真特産品、惨状に農家ぼうぜん

2018/9/14配信

 胆振東部地震で震度7を観測した厚真町で、裏山が崩れて押し寄せた大量の土砂がハスカップ畑を襲った。ハスカップは町の特産品で作付面積日本一を誇る。町は状況を把握し切れていないが、ハスカップ畑の多い高丘地区が甚大な被害に見舞われたことから、かなりの影響が出ているものとみている。

 「参った。本当にびっくりした」。同町朝日でハスカップの観光農園を経営している土居元さん(41)は、100本のハスカップの木をのみ込んだ大量の土砂を前にぼうぜんと立ち尽くした。高台に広がる畑の裏山が崩れ、幅60メートルにわたって土砂が押し寄せた。「長年かけてようやく育てた品質の高い木がやられた」と肩を落とす。

 被害はそればかりではない。畑に通じる道路が大きく陥没して車両が入れない。畑の至るところに地割れや隆起が見られ、余震に伴って拡大している。危険で作業ができない。計1・8ヘクタールある3カ所の畑のうち7割が被害を受けた。大規模な補修をしなければ、ハスカップ狩りを再開できない。「雨が降ったら地盤が緩み、もっと地割れなどが広がるかもしれない」と不安が頭をよぎる。

 祖父と父が築いた農園を10年ほど前に受け継ぎ、低農薬栽培にこだわってきた。収入の8割が観光農園で残りはカボチャ栽培だ。「土砂をどう取り除くか。畑の地割れや隆起をどう直すか。まったく見通しが立たない」と話し、天を仰いだ。

 同町宇隆にある山口農園のハスカップ畑でも裏山が崩れて、ハスカップの木が土砂に埋まった。「一本一本取り出したいけど無理だ」。山口善紀さん(47)は視線を土砂に向けながら、自身に言い聞かせるようにつぶやいた。

 4・3ヘクタールに5000本を育てている。そのうち約1割に当たる500本ほどが被害に遭った。すべて20年以上育てた木で、1本から1キロを収穫できた。500キロほどの収量が減る。「1本の木から1キロを取るには、10年以上が必要だ」と話す。

 でも落ち込んではいられない。「地震の被害には負けたくない。全国の人に応援してもらう気持ちで頑張りたい」と前を見据える。

 農家などが冷凍庫で保存していたハスカップの実も停電で大きな被害が出ている。町によると、町内のハスカップ農家は104戸で、作付面積は31・5ヘクタール。

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