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恩人へ追悼の思い込め 大道芸人・ギリヤークさん苫小牧で公演

2018/8/27配信

 津軽三味線に合わせて創作舞踊を披露する函館市出身の大道芸人、ギリヤーク尼ヶ崎さん(88)=東京都在住=が25日、苫小牧市内で4年ぶりの舞踊公演を行った。公演当日は雨に見舞われたため、ギリヤークさんの健康にも配慮して、会場を当初の表町公園から隣接する北海道新聞苫小牧支社の1階ホールに変更。情念の踊りを披露した。

 車いすで会場に現れたギリヤークさんは、約300人の観客に大きな拍手で迎えられた。長年得意としてきた「じょんがら一代」から始まり、続いて観客と一緒に手をつないで踊る「よされ節」を見せ、元気な姿をアピールした。

 芸歴50周年記念として十数年ぶりの新作となる「果たし合い」の試演も行われた。俳優歴50年の友人、近藤正臣さん(76)から借り受けた刀のつばをペンダントのように首から提げ、見えない相手に手刀を打ち込むような動作や、両手を広げて不敵な笑みを浮かべるなどの独特の仕草を披露。観客らはギリヤークさんの一挙一動を息をのんで見守っていた。

 母の遺影を掲げて感謝を捧げる祈りの踊り「念仏じょんがら」は、苫小牧公演を1985年から支えてきた友人、故田中充さん(愛称・ツルさん)への追悼の思いを込めて踊った。
 ギリヤークさんは「ツルさんが声を掛けてくれたので北海道公演は苫小牧から始まった」と古くからの縁を語り、「きょう苫小牧で踊れるのもツルさんと皆さんのおかげ。この日のことは忘れません」と感謝した。声援に応えるように「じょんがら一代」を再演すると、ギリヤークさんは「90歳になれば、東京五輪がある。その時まで踊り続けます」と声を張り、さらに大きな歓声と拍手が会場を包み、投げ銭が飛び交った。

 一緒によされ節を踊った石狩市の団体職員石崎澄枝さん(47)は「手を取って踊れたことは一生の記念。元気をもらった」と話した。

 ギリヤークさんの苫小牧公演を初回から見て来たという苫小牧市末広町の福井三男さん(70)は「病気を抱えながら、友人や苫小牧のために踊ってくれた。心の底から湧き上がるような熱のこもった思いをもらった。感激した」と目をうるませた。

 今回の苫小牧公演を支えてきた市民有志の一人、市内日新町の辻寿美子さん(66)は「元気な姿を見られてうれしい。来年こそは表町公園で思う存分踊ってもらいたい」と話した。

 ギリヤークさんの苫小牧公演は85年から2012年まで、毎年7月に道内公演の口火を切る形で行われてきたが、13年に健康上の理由で中止。14年に復活公演を行ったが15年以降3年間は、パーキンソン病の悪化などで中止していた。

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