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老舗また一つ。創業65年の歴史に幕 苫小牧のクボタ時計店、8月5日に閉店

2018/7/12配信

 苫小牧市王子町のクボタ時計店が8月5日、創業から65年の歴史に幕を下ろす。現店主で、半世紀以上にわたり時計修理職人としての腕を磨き続けた小谷良勝さん(76)が「ここで区切りを付けたい」と閉じる決断をした。「長い間、お客さまに支えてもらい、ここまで来られた。自分は幸せ者」と感謝を口にする。中心街の移り変わりを見守ってきた老舗店がまた一つ消える。

 同店は先代オーナーが1953年に大町で創業。67年に市道駅前本通沿いの現地に移転した。小谷さんは64年から時計修理職人として同店に勤務。94年に先代から店を譲り受け、屋号もそのまま引き継いだ。

 小谷さんの生まれは十勝管内音更村(現・音更町)。親の勧めで16歳から地元の時計店で7年間、修行生活を送った。「『技術は目で見て、盗め』が当たり前の時代だったから、何度も怒鳴られながら修理の技術を必死に覚えた。辞めようと思ったことは一度もなかったから、自分に向いていたんだと思う」としみじみと語る。

 苫小牧には60年代に入ってから両親と共に移住。当時はちょうど苫小牧港が開港した頃で「活気あふれるまちというイメージを抱いて家族で引っ越してきた。実際、にぎわいがすごかった」と当時を懐かしむ。

 だが、中心街のにぎわいも次第に失われていった。地元商業施設の中心的存在だった鶴丸百貨店が2002年に閉店。郊外への大型商業施設の進出で、苫小牧駅周辺の大型店も相次いで撤退し、駅前商店街から客足も遠のいていった。

 中心街の商業環境の変化以外でも、まちの時計店にとって厳しい時代を迎えた。時刻の表示機能がある携帯電話やスマートフォンが腕時計に取って代わった。インターネットを使えば、店へ足を運ばなくても希望の商品も簡単に手に入る。各メーカーが売り出す時計の構造もアナログからデジタルへ変化。昔ながらの職人技を生かせないことも多くなった。

 しかし、そうした時代の中でも、腕時計の愛好者から壊れた機械式時計が持ち込まれ、ルーペやピンセットなどを精密に操る技術を駆使し、新たな“命”を吹き込んできた。「直った時計にお客さんが見せる笑顔がうれしく、この仕事にやりがいを感じてきました」と目を細める。

 初代オーナーが昨年夏に病気で他界したこともあって、一つの区切りとして店を閉じることにしたという。店には市民への感謝の気持ちを記した文章を掲げ、全商品対象の30~70%引きのセールも行っている。当初、今月末での閉店を予定していたが、小谷さんは「駅前通りで行われる8月5日のとまこまい港まつりパレードを見届けてからシャッターを下ろすことにした。これまでありがとうございました」と話している。

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