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苫小牧市科学センター・谷内六郎の大型モザイク壁画 有志が再生、保存呼び掛け

2018/6/22配信

 苫小牧市科学センターの壁面にタイルを埋め込んで47年前に制作された画家、谷内六郎(1921~81年)の大型モザイク画の再生、保存を呼び掛けるコンサートが7月1日午前11時から、同センターで開催される。市民有志でつくる「谷内六郎モザイク壁画を再生する会」(矢嶋翼代表)の主催。モザイク画は縦5メートル、横14メートルと、谷内作品の壁画としては東北以北で最大規模だが近年、老朽化が著しい。同会は「壁画は市民の大事な財産。まずは存在を周知し、何らかの形で再生、保存していくための活動を続けたい」としている。

 モザイク画は、週刊新潮の表紙絵を創刊号から25年間担当した東京都出身の谷内が、苫小牧の知人のために書き下ろした「芽が出る音」と題された作品。長い冬を終え、春の訪れを祝うように輪になって遊ぶ子供たちや林を抜けるバイオリンのような風の音、砂浜の鍵盤を弾く海岸のさざ波、雪を割って芽吹く草花の生き生きとした様子を描いた。雪国で懸命に暮らす人々を愛した谷内の温かなまなざしが感じられる。

 72年6月に制作されたモザイク画のタイル片はガラスを砕いて作られており、ばらばらの形、色のものを組み合わせ、直接壁面に埋め込んでいる。長年、屋外で風雨にさらされたことなどで、壁面に直接埋め込まれている約2センチ角のガラス製タイル片が剥がれ落ちるなど劣化が進んでいる。

 作品規模の大きさと、特殊な工法が完全な修復を難しくしており、センター自体の老朽化と建て替えの議論も始まったことで、壁画の今後が懸念されている。

 同センターの指導員で、旧市博物館の美術担当学芸員だった三村伸さんなどによると、これまで、市制45周年記念で93年に商業施設で谷内六郎回顧展が開催されたり、当時の港まつり会場で苫小牧ユネスコ協会と苫小牧子ども会育成連絡協議会が共同で露店を開き、谷内の絵をあしらった絵はがきやTシャツなどを販売したりと、かつて谷内作品は地域に広く親しまれたが近年は交流のあった人物が亡くなったり、市外に転出するなどして知る人が少なくなっている。

 矢嶋代表は、コンサートの企画趣旨について「まずは谷内さんの壁画が市内中心部にあることを多くの市民に知ってほしい」と強調。「市民の文化遺産とするためには、多くの市民の手が加わることが重要。まち全体で保存、再生を目指す取り組みになれば」と力を込める。

 コンサートには、苫小牧東小ブラスバンド同好会や地元アイドルグループのタッチ、カントリーワゴン、フラなどの舞踊団体ヤジマ・ファレ」の4組が出演予定。今後、月1回ペースでコンサートを開催していきたい考えだ。入場無料で雨天決行。

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