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バイオマス発電の動き活発化 苫小牧で事業化相次ぐ

2018/6/11配信

 苫小牧港・西港の周辺地域で近年、自然再生エネルギーとして注目を集めるバイオマス発電事業の動きが活発化している。この1年間に事業に乗り出したり、計画を立てたりした企業は3社に。近郊に広大な森林を抱え、港も近くにある土地柄、燃料の原料となる間伐材や木質チップなどを調達しやすいことが背景にある。この他、苫小牧での事業の可能性を探る企業から市に相談が寄せられており、国も再生可能エネルギーの推進を掲げる中、市もバイオマス発電所の集積に期待する。

 ■原料確保しやすく

 市内でバイオマス発電事業を実施、計画しているのは、苫小牧バイオマス発電(本社苫小牧市)、肥料製造や産廃処理を手掛けるトマウェーブ(同)、日本製紙(東京)の北海道工場勇払事業所の3社。いずれも再生可能エネルギーの電力を一定価格で買い取る「固定価格買い取り制度」(FIT)に基づき、全量を北海道電力に売電する。

 苫小牧バイオマス発電はイワクラ、三井物産、住友林業、北海道ガスの4社が共同出資し、市内晴海町で2017年5月から営業運転を開始。道内で唯一、道産間伐材のみを原料とし、一般家庭の約1万世帯分に当たる5.9メガワットの発電能力を持つ。

 同社の岡田真社長は、苫小牧進出の決め手を「周辺に林産業が多く原料を集めやすい。未利用木材を原料にすることで道内経済の活性化にも寄与できる」と強調。売電に欠かせない電力送電網や電力の大消費地・札幌に近いことも利点に挙げる。

 ■食品廃棄物を生かす

 日本製紙は、勇払事業所構内で21年度、国内最大級となる出力7万4900キロワットの発電設備を新設する計画だ。輸入の木質チップとヤシ殻(パーム油残さ)、道産未利用材を原料とし、一般家庭で約7万5000世帯から10数万世帯の使用量に相当する電力を発電する。詳細は検討中だが、原料を受け入れる港に近いという利点が発電事業の計画を後押しした。

 トマウェーブ(沼澤栄社長)は、勇払の社屋横にバイオガス発電所を建設中で、8月の稼働を目指している。原料は、食品製造会社から出る野菜の切れ端など食品廃棄物を発酵させて作るメタンガス。ガスは1日当たり2250立方メートル生産し、発電に生かす。1時間当たり発電量は49キロワット。1世帯当たり年間消費電力3600キロワットで試算すると約111世帯分に相当する。初年度は年間約40万キロワットの発電を目指す計画だ。

 同社も全量を北電に売電する方針で「廃棄物を有効活用したい」と渡辺秀敏専務。食品廃棄物を発酵処理した後の消化液を野菜生産の液体肥料に生かし、収穫した野菜を使う食品会社の廃棄物を再び発電所へと、循環型農産物リサイクルシステムを構築するという。

 ■林業界も期待

 3社のうち2社は、発電燃料の原料に木質を活用するが、苫小牧広域森林組合の山崎常彰専務は「林業界全体で期待する部分が大きい」と苫小牧での発電事業の動きを歓迎する。

 これまで需要が少なかった森林整備の残材や間伐材の引き合いが増え、業界の活性化につながると期待。またペーパーレス化で製紙業界の原料需要が落ち込む中、従来の供給量の補完効果も見込む。

 バイオマス発電所が苫小牧に集積しつつある背景について市港湾・企業振興課は、木質原料の調達のしやすさに加え、「原料輸送面で有利な港に近い"地の利"もある」と語る。バイオマス発電を目的に進出を模索するベンチャー企業などの相談も寄せられているといい、「さまざまな業種の企業が苫小牧に集積するのは大歓迎。今後も積極的な誘致を進めたい」としている。

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