4

24(水)

胆振の
明日の天気

雨 夕方 から くもり

14 / 8

主要

苫小牧の吉本仏壇店創業100年 故人思う気持ちに寄り添う

2017/8/18配信

 苫小牧市錦町2の吉本仏壇店(吉本俊憲社長)は今年、創業100年を迎えた。仏壇店としては東胆振で最も歴史が古い。かつては、仏壇の製造から販売までを一貫して手掛けた。100年間変わらぬ場所で、地域に密着して営業を続け、市民や寺院関係者から愛されている。

 同店は、1917(大正6)年創業。2階建ての現店舗は「3代目」で、58年に建築された。店内には大小さまざま約100基の仏壇がずらりと並び、各家庭の間取りや予算に合わせて選ぶことができる。線香やろうそくなどの消耗品やりん、ちょうちんといった仏具も整然と並ぶ。

 吉本社長(70)の祖父に当たる故・竹一さんが、現地で開業。寺の息子として生まれた竹一さんは宮大工として鍛練を積み、その技術と経験を商売に生かした。外枠など木工のパーツ作りから、塗り、箔(はく)押し、金具付けなど複雑な工程を経て、仏壇を作り上げる職人で吉本社長は「祖父は相当な苦労をして技術を身に付けたのではないか」と、先代の努力に思いをはせる。

 吉本社長の父で2代目の故・重治郎さんも戦前、竹一さんや職人と共に腕を磨き、細部まで丁寧に作り込んだ仏壇を家庭に届けていたが第二次世界大戦で物資が不足。終戦後も金箔などの仕入れが難航し、仏壇作りから手を引かざるを得なくなったという。屋根の形状が東西で異なるのは、かつて西側に作業場があった名残だ。

 現在、製造は行っていないが一般家庭の仏壇や、寺院の仏具の塗り替え、修理は受け付けている。

 最近は仏間のない洋風の間取りの家が増え、漆塗りで金箔加工を施した定番のデザインから、洋室にもなじむ家具調の仏壇の需要が高まりつつあるなど、仏壇を取り巻く環境は時代と共に変化している。

 吉本さんは「物言わぬ亡き人を供養することは、相手の気持ちにどれだけ寄り添えるかということ」と強調。今後も時が流れても変わらぬ、人々が故人を思う気持ちに寄り添っていきたい考えだ。

紙面ビューアー
ニュースカレンダー

週間ランキング

集計期間 04/17 〜 04/24

受付

苫小牧民報社から

クリップ保存しました
マイページへ
クリップ削除しました
マイページへ
会員登録するとクリップ登録機能が使えます。
詳しくはこちら