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白老・胆振東部・日高

松浦武四郎が縁結び 白老の博物館と松阪市の記念館が姉妹提携

2014/10/28配信

 白老町のアイヌ民族博物館(野本勝信代表理事)は25日、開館30周年記念事業の一環として三重県松阪市の松浦武四郎記念館(中野恭館長)と姉妹博物館の提携を結んだ。以前から学術面で交流していたが、松浦記念館側も開館20年の節目を迎えたことなどから、提携を決めた。調印式の前には、アイヌ民族とのゆかりが深かった松浦武四郎のモニュメントの除幕式や、同日開幕した特別記念展のオープニングセレモニーも行われ、両館の関係者が出席して盛大に祝った。

 松浦武四郎(1818~88年)は蝦夷地(現在の北海道)を6度にわたり調査し、「北海道」の名付け親にもなった人物。蝦夷地調査を通じてアイヌ民族と深く親交。自然との共生文化を理解し、晩年にはアイヌ民族の生活や文化などをイラストにした豆本を出版するなど、積極的な理解啓蒙に取り組んだことでも知られる。

 調印式でアイヌ民族博物館の野本正博館長は「この提携がアイヌ民族の尊厳を尊重する社会の実現に向けて、より広い世界とのパートナーシップが築かれる一つの契機となることを願っている」とあいさつ。中野館長は「提携は武四郎さんのご縁あってのことで感謝している。今後は両館が手を握り合い、緩やかながら充実した諸交流を長いスパンでできればと思っている」と話した。

 同博物館によると、外部との提携は1984年6月にフィンランドの国立サーミ博物館、93年8月にロシアのサハリン州立博物館と行っており、今回で3カ所目となる。

 式典に先立って行われたモニュメント除幕式では、戸田安彦町長や野本勝信代表理事、松阪市教育委員会の東博武教育長らが立ち合い、記念の石碑を披露。松阪市の光れ街道夢おこしの会のメンバーが、同市の無形民俗文化財「松阪しょんがい音頭」や松浦氏の功績を物語風に歌った「松阪武四郎一代記」の踊りを披露した。

 石碑は高さ2.1メートルの御影石で作られ、白老町の石材業者が制作したもの。「幕末にアイヌ民族と心を通わせ、現代にアイヌ文化を伝えるなど数々の業績を残したヒューマニズム溢れる人でした」などと人物像や経歴が碑文に刻まれている。

 また、25日から開館30周年記念特別展「共生の世界へ~松浦武四郎とその時代展」も博物館内で始まっている。武四郎記念館が所蔵している晩年の「蝦夷人機組図(えぞびとはたおりず)」を道内で初展示。会場の床面には、北海道を全26枚の地図にまとめた「東西蝦夷山川地理取調図」の複製フィルムを貼りつけており、来場者の関心を集めた。

 調印式の後には、松浦武四郎記念館の山本命学芸員と佐々木利和北大客員教授がそれぞれ記念講演。アイヌ民族博物館の関係者も加わったシンポジウムも開かれ、アイヌ民族と和人の共生社会や民族共生の象徴空間整備に向けた意見交換も行われた。
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