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千歳・恵庭

野生生物写真家嶋田忠さんが千歳市に常設ギャラリー

2014/12/5配信

 日本を代表する野生生物写真家で千歳在住の嶋田忠さん(65)が、市内蘭越の道道支笏湖公園線沿いに自身の作品を常設展示する「嶋田忠ネイチャーフォトギャラリー」を5日にオープンした。鳥を観察できるカフェと併設の撮影スペースを設けた。「世界のジャングルを歩いてきましたが、ここが一番だと思う」。34年間、ファインダー越しに向き合った本道の自然や千歳川流域で今まさに生きている鳥の姿を多数展示している。

 長く親交を続け、自然について数々の教えを受けたアイヌ文化伝承者、故中本ムツ子さん(2011年死去)の旧宅を取得して改修した三角屋根の施設。床面積約130平方メートル。入館すると1階にギャラリーが広がる。

 北海道移住の動機となり、姿を追い掛けてきたシマフクロウやアカショウビンなどの特大の写真を置く「マイ・カムイ」(私の神)コーナーがある。オープニングの企画展として、オジロワシやオオワシの生態を作品群が並ぶ。

 奥には「ザ・バードウォッチング・カフェ」を設けた。室内で飲み物を楽しみながら敷地や奥の林にひっきりなしに訪れる野鳥を観察できる。

 さらにカフェからつながる小屋は10席。引き戸を開け放つと撮影者の姿を隠すカモフラージュネットが掛かっている。直接外気に触れ、カフェの利用者が持ってきたカメラのレンズを直接向けられるスペースとした。「動物を写すときは自らの気配を消す」(嶋田さん)撮影流儀を体感できるコーナー。「こういう運営形式の施設はここが初めてだと思います」

 晩秋、静かな森の光景が一望できる。今、姿を確認できる鳥の種類は無数だ。キツツキの仲間やシジュウカラ、キバシリ、ミヤマカケスなどがよく現れるという。嶋田さんは「ロケーションがいい。こういう場所に展示場を造りたかった」と笑顔で語った。

 嶋田さんはテレビの報道番組の特集や自然番組のハイビジョン撮影に関わってきた。

 「ここ5年ほどはデジタルのスチールカメラ撮影に回帰しました」と語る。今月も東京銀座のキヤノンギャラリーで写真展を開催。第二の故郷で自身初の常設展示館開設の日を迎えた。

 鳥の撮影のため北海道移住を考えた34年前に、本州へ帰る苫小牧港発フェリー乗船の空き時間に何気なく訪れた蘭越で感じた野生の息遣い。「千歳川と森の素晴らしさに打たれて、ここに住もうと決めました」と振り返る。

 この施設を野鳥観察を趣味にする欧米人旅行者を受け入れる拠点に、とも構想中。嶋田さんの心の川、千歳川。「自然観察ツアーも考えてみたいですね」と語った。

 ギャラリーは入場無料、月、火曜定休。問い合わせは電話0123(29)3410。

 嶋田忠(しまだ・ただし) 埼玉県生まれ。日本大学獣医学部卒業後、動物雑誌「アニマ」(平凡社)創刊に参加した。1980年に千歳市へ移住した。写真集の近作は「凍る嘴(くちばし)厳冬のハンター[ヤマセミ]」(平凡社)。氷点下20度の厳寒期も含め、ほぼすべて千歳川で撮影したヤマセミの姿という。
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