レンジャー養成終了、過酷な訓練成し遂げる 家族ら出迎え任務達成たたえる-陸自7師団
2019/7/23配信
陸上自衛隊第7師団は21日、レンジャー養成教育の集大成、「最終想定訓練」を終えた志願隊員18人の帰還行事を東千歳駐屯地で行った。不眠不休で山地を潜行する過酷な訓練を成し遂げた隊員たちは、所属部隊の仲間や家族から拍手で迎えられて帰還。困難な任務を達成したつわもののしるし、レンジャーバッジが授与された。
レンジャーは困難な課題を克服し、作戦行動や人命救助を実行する付加特技。5月から約3カ月にわたり訓練を展開した。第11普通科連隊が教育を担い、ロープを使用する技術や山地潜入による作戦行動、地図判読、通信技術などを錬成。7師団指揮下の部隊から24人が志願し、最終的に訓練を終えたのは18人だった。
最終想定訓練は18~21日、恵庭岳など支笏湖周辺の山地や北海道大演習場内で展開。敵陣での作戦行動を想定した。約40キロの背のうを背負い小銃も携行。わずかな食料と水で、不眠不休で約40キロの道のりを徒歩で移動する内容だ。
訓練を終えた隊員は背のうを背負い、装備品を抱えて、顔に迷彩を施したまま隊列を組んで「われらレンジャー」と掛け声を上げながら入門。家族や仲間など約600人から盛大な拍手で迎えられた。出迎え者はバケツに入れた爆竹を鳴らしたり、「よく頑張った」と激励の言葉を掛けたりして、激務を終えた仲間をたたえた。
帰還行事では帰還隊員の代表者が、任務達成を担任官の宮内雅也第11普通科連隊長に報告。一人一人にレンジャーバッジを授与すると、「ありがとうございます」と隊員が声を振り絞った。
約1カ月ぶりに会う家族と言葉を交わす時間も設けられ、目頭を押さえる妻や両親の姿が見られた。
宮内連隊長は家族に向けて「レンジャー訓練は陸上自衛隊の中でも最も過酷で厳しい訓練。彼らを誇りに思って」と語った。隊員には「(きょうが)レンジャー隊員としてのスタート。今後の訓練でどのように結果を積み重ねていくかが大切。いぶし銀のバッジは心構え次第ですぐ色あせることを頭に入れておいてほしい」と一層の精進を期待。「君たちを見て目頭が熱くなるほど感動した」と言葉を詰まらせた。
第11普連本部管理中隊の飴谷直人3曹(27)は「何度もやめたいと思ったが、仲間と一緒に乗り越えた。理想のレンジャーを目指して研さんに努めます」と精悍(せいかん)な表情で語った。同中隊の石井拓郎士長(20)も「訓練は1人では乗り越えられなかった。どんな場面でも人のお手本になれるレンジャーになりたい」と決意を表した。