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北海道胆振東部地震

電波で支える市民生活 臨時放送で避難所情報など伝える-地域FM放送e-niwa

2018/9/10配信

 北海道胆振東部地震による停電で恵庭市民の生活が混乱に陥った6日未明から8日夜まで、市内の地域FM放送e-niwa(いーにわ)は災害時臨時放送を行い、安全を守る行動の呼び掛けや避難所の開設状況のほか、食料や物資が購入できる店舗や開いているガソリンスタンド、充電ができる場所など、市民が求める情報を集めて伝えた。日ごろから築いてきたスタッフの人脈や市民パーソナリティー、聴取者の情報ネットワークにより、不安と混乱に戸惑う多くの市民を支え、勇気づけた。

 6日午前3時半すぎ、地震発生から30分ほど後、緑町の複合施設えにあすのいーにわ事務所に北岡昌洋局長と職員2人が集まり、最大レベルの緊急災害時スクランブル体制を開始。えにあすと市役所庁舎の屋上にあるアンテナの電源が両方とも停止しているのを確認し、非常用の発電機を起動して準備を整え、同4時ごろから臨時放送をスタートした。

 三浦真吾プロデューサーは「最初は何もわからない状態で、余震も続いていたので、とにかく不安をなだめ、落ち着いて自分や周りの人の安全を確保する行動を取るような呼び掛けを続けていた」と振り返る。同局は市と災害時の情報提供に関する協定を結んでおり、地震発生後すぐに市が立ち上げた災害対策本部で情報収集を試みたが、当初は混乱状態だったため、いーにわスタッフは市内を走り回って自主的に状況を把握し、目で確認したものを伝えた。

 役立ったのは、同局の番組に出演している約50人の市民パーソナリティーや、日ごろから番組にメールで情報を送ってくる聴取者からの情報。電話がつながらない状況の中、スタッフが個人で参加しているスマートフォンの情報交換アプリのグループからも多くの情報が入ってきた。

 ただ、停電が始まってからかなり早い段階で、信頼性に欠ける情報も数多く出回った。最も多かったのは市が断水計画を検討しており、いずれ水が止まるかもしれないという誤情報で、同局はすぐに市に確認を取り、出所の不確かな情報を拡散しないように呼び掛けた。

 えにあすには朝から多くの避難者が訪れており、さまざまな情報を確認できる掲示板が入り口に設置された。そこには市が公式に発表した避難所などの情報のほか、同局が独自に集めた生活に関する情報なども随時書き込まれ、常時それを確認に訪れる人たちが集まっていた。

 公共施設、学校、保育園、交通機関、医療機関などの状況、開いているガソリンスタンド、コンビニエンスストア、スーパー、そこでどんな商品を入手可能か、避難所の収容可能人数や現在の状況、置いている物資、携帯電話の充電が可能かどうかなど、避難者がどんな情報を求めているかを常に予測しながら情報を集め、どんどん書き込みを増やしていった。同じえにあすの中で事務所が隣り合っている市の市民活動センターと連携し、公的な情報と民間の情報を補完し合った掲示板は、多くの避難者の指針となり、情報を得るためだけにえにあすを訪れる人も多く見られた。

 停電が始まって2日目の夜7時ごろ、まだ電力供給が復旧していない世帯もあり、避難所には200人を超える市民が再び集まり始めていた。三浦プロデューサーは「避難している人たちに疲れが出てきているのではないか、情報だけではなく元気が出る音楽を流そうと思い、避難所にリクエスト募集の張り紙をしたら、9時すぎになって一気にリクエストが来た」と振り返り、「初めてメールをくれた人も多く、『地震が起きてからずっと聴いていた』『スーパーや充電場所の情報が本当に助かった』という声がすごく寄せられた。普段の倍以上の人が聴いてくれていたのではないかという手ごたえがある」と語った。

 「緊急時は、その場になってみないとわからないことがたくさんある。今回は、どう動くべきか考えながらずっと走り続けた。やはり大切なのは普段からのつながり。いろいろなコミュニティーが重なり合い、『オールいーにわ』で助け合えたことが、今後につながっていくのではないか」と三浦プロデューサー。地域の情報を届けるコミュニティーFM局が災害時に担う役割の大きさが、今回を通じて大きくクローズアップされた。

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