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千歳科技大・下村教授、高分子科学功績賞を受賞 生物模倣技術研究で評価

2018/4/3配信

 千歳科学技術大理工学部の下村政嗣教授(64)=高分子化学=がこのほど、工学や物理学の研究者で組織する高分子学会の「高分子科学功績賞」を受賞した。生物の特性を模倣した技術「バイオミメティクス」研究の功績が高く評価された。下村教授は「受賞は、多分野にわたる共同研究者の皆さんのおかげ。学術は総合的であるべきと改めて実感している」と話している。

 同賞は高分子基礎科学と応用化学の発展に顕著な功績があった研究者に贈られる。下村教授は2013年にも高分子学会賞を受賞している。

 スポンジは海綿の形状を、ナイロンは絹糸の構造をそれぞれ模倣するなど、生物の特性を参考にした技術は古くから研究されてきた。1990年代からは電子顕微鏡の発達で生物の表面構造をより細かく観察できるようになり、ハスの葉の持つ撥水(はっすい)性や光を反射しないガの目の構造など、人間生活にも応用可能な技術研究が進展した。

 下村教授の研究は、大量のエネルギーを用いずに構造や特性を生み出す「自己組織化」がキーワード。細胞の新陳代謝のように、生物の体はエネルギーの大量消費によらず、時間をかけて構築される。下村教授は自己組織化で何らかの動力やエネルギー消費に頼らなくとも構築可能な生物模倣技術の研究に注力してきた。

 具体的には海岸にすむフナムシの脚が持つ水を吸い上げる能力の研究。フナムシは腹部にえらを持ち、水がなければ呼吸できない。毛が密集した細かい溝を持つ脚を持ち、ぬれた場所ではポンプのような動力がなくても吸水できる構造だ。下村教授は水輸送への応用を念頭に仕組みを研究した。

 現在は、ハチの巣のように規則的に小さな穴が開いた「ハニカム構造」やカタツムリなどが分泌する粘液について複数分野との共同研究を進める。ハニカム構造の膜はフィルターや細胞の培養基材に適しており、再生医療や移植医療への応用が期待される。また外部の防汚や自己洗浄機能を持つ分泌粘液の研究は、太陽光パネルの着雪防止や新しい電子顕微鏡観察技術などにつながるという。

 下村教授は工学博士の学位を持つ。バイオミメティクスの研究には、工学のみならず生物学や農学、環境学などの学際的な研究が必要で、多分野の研究者と連携してきた。これまでの研究業績に加え、文科省科学研究費新学術領域として生物学と工学を結び付ける新たな学術分野「生物規範工学」の確立が受賞につながった。

 「エネルギーや環境、資源をめぐって人類は今、危機的な状況にある」と話す下村教授。「生物は長い時間をかけて進化し、生き残る技術を得てきた。人類が生き残るためにも生物多様性から学ぶことがある」と研究の意義を語った。

 授賞式は5月に名古屋市で開催される同学会年次大会で行われる。

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