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歌川広重と東海道五拾三次を歩く-苫小牧市美術博物館特別展より

(7)庄野(三重県鈴鹿市)

2018/8/10配信

 保永堂版「庄野(しょうの) 白雨(はくう)」の白雨とは、にわか雨のこと。暗い色調で黒雲垂れ込める夏の夕暮れの情景が描かれている。

 この絵は前景に5人の人物を配置することにより、写実的な遠近表現を試みている。坂道を登っていくのは、客をかごに乗せた2人のかごかきと、むしろを背負った男。これに対し、番傘を差した男とくわを担いだ農夫が下っていく。

 農夫は近所の住人とみて間違いなく、畑仕事の途中に雨に遭い、家路を急いでいるのであろう。一方、かごに乗るのは通りすがりの旅人。広重は土地の住人とよそ者の擦れ違いに旅の本質を見いだしていた。農夫が大股で駆けて行くのに対し、番傘を差す男は向かい風にあおられ容易に足を運ぶことができない。すぼめた傘と小さな歩幅が、風の強さを物語っている。

 また、傘に描かれた「竹のうち」「五十三次」の文字は、このシリーズでたびたび見られるコマーシャル。一方、後景ではシルエットで表現された木のパターンが繰り返され、緊張感と安定感を同時にもたらしている。こうした表現は写真で表すことはできない。

 また、この絵の特徴は斜線を多用していること。傾きにより、旅人が駆け下りていくスピード感と劇的でただならぬ感じを引き出している。黄色や藍、黒のぼかしなどの色の対比が、より一層臨場感を高めている。

(苫小牧市美術博物館学芸員 武田正哉)



 特別展「歌川広重 二つの東海道五拾三次 保永堂版と丸清版」について、武田学芸員が解説するギャラリートークが、12日午後1時半から展覧会場で開かれる。参加無料(観覧料は必要)。当日直接会場へ。
―おわり―

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