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歌川広重と東海道五拾三次を歩く-苫小牧市美術博物館特別展より

(4)蒲原(静岡県静岡市清水区)

2018/8/7配信

 保永堂版の蒲原(かんばら)は最も高名な作品の一つであり、広重の画業を代表する傑作であろう。蒲原は富士川を越えるために欠かせない宿場であった。しかし、気候は温暖で決して雪深い土地ではない。

 それを広重は一面の雪景色に変え、宿場の名所や名物を一切描かずに、多くの人に訴え掛ける美しい風景として描いた。静まり返る雪の夜道を3人の旅人がうつむきながら歩くさまは冬の厳しさと物寂しさを感じさせ、情緒あふれる。

 右は2人連れで、頭や背中には雪が真っ白に積もっており、寒さをこらえて長時間歩いていることが暗示されている。一方、左側の人物は背中を丸め、番傘で顔を隠している。人物の表情が見えないことが、より一層感傷的な気分を呼び起こす。

 この図の特徴は、風景に色を用いず、モノクロームとしたことにある。これにより、人物が浮かび上がって見える。

 そして右の2人連れと左の人物が互いに背中を向け合い、画面の外に向かって歩み去っていくように配置している。見知らぬ者同士が擦れ違い、離れ離れになっていく。ここに広重は旅の本質を見いだし、形として表現している。広重はこの人物配置を「四日市」や「庄野」などで繰り返し、いずれもこのシリーズを代表する名作とした。

(苫小牧市美術博物館学芸員 武田正哉)

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