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歌川広重と東海道五拾三次を歩く-苫小牧市美術博物館特別展より

(3)箱根(神奈川県足柄下郡箱根町)

2018/8/3配信

 箱根越えは東海道最大の難所。保永堂版は、山あいの道を西国へ向かっていく大名行列が、急な傾斜を象徴している。左手は芦ノ湖で、湖周辺を低い山々が取り巻き、これを目で追っていくと、最遠景の富士山にたどり着く構成となる。

 この絵の特徴は、中央の岩山に見える色の使い分けである。青緑、草色、黄色、青、黄色、茶、墨色がちりばめられ、現実の山とは思われない山容が現れている。また、岩を積み上げ山の量感を作り上げる描法もこの絵の特異さを際立たせている。

 古今東西の画法を学んでいた広重。この作品においては中国山水画の影響が顕著に現れている。山水画制作に用いられる三遠法では、心の中の理想郷を描くことが基本であり、見たままを描くのは下手だとされていた。広重は箱根という実在の土地を描きつつ、現実離れした山容によって、山を主役とする理想郷を表現したといえる。

 また、この作品では山自体を崇高な存在として捉えていた山岳信仰の影響も垣間見える。従って、山そのものが精神的な存在として描かれ、山の存在そのもののリアリティーが追及されている。

 一方、丸清版は暗闇の中をかがり火をたきながら山道を越えていく旅人の様子を俯瞰(ふかん)的に描き、両作品により遠景と近景の対照的な表現を見ることができる。

(苫小牧市美術博物館学芸員 武田正哉)

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