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歌川広重と東海道五拾三次を歩く-苫小牧市美術博物館特別展より

(2)日本橋(東京都中央区)

2018/8/2配信

 五街道の起点、日本橋。日本橋の北側には魚河岸があり、一日千両もの商いがあったといわれる。

 保永堂版は朝焼けを背に大名行列が日本橋を渡って来る様子を描く。高まる旅への期待を盛り上げるかのようである。また、手前にはてんびん棒を担いだ魚屋の姿も見え、一日の始まりを迎える町の活況を伝える。開いた木戸からは、絵を見ている私たち自身が門の前に立っているかのように感じることができる。

 この絵の特徴は橋を真正面から捉え、全体の形を描かないことにある。その分、人の動きは分かりやすく構図で変化を見せている。また、水平線を下げることによって臨場感を高め、さらに遠近法を用いることにより奥行きを強調している。一見自然な感じに見えるが、かなり意図的に作り込まれた作品と言えよう。

 一方、丸清版はずらりと並ぶ蔵を背景に、橋の上を行き交う男女や、鮮魚や酒を運ぶ男など、より具体的に町のにぎわいを描き出している。背景の蔵の文字を右から読むと「新板東海道五拾三次丸清板」が浮かび上がり、現代の出版社に当たる版元をさりげなく告知している。浮世絵は庶民にとって身近な商品としての役割があり、現代の雑誌・漫画・テレビ・インターネットなどの情報媒体に例えられる。版元は、売るための工夫、庶民が買いたいと思う工夫を随所に盛り込んでいた。

(苫小牧市美術博物館学芸員 武田正哉)

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