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守れるか ついの住み家-自立支援関連施設の火災から

(中)社会から孤立する生活困窮者

2018/3/6配信

 苫小牧市は2015年度、生活困窮者の支援に乗り出した。同年度初めに総合福祉課を新設。生活保護の受給には至っていないが経済的に困窮している人からの相談に応じ、個々の悩み事に合った支援制度を案内するなどしてきた。

 「一口に生活困窮と言っても、抱える事情は千差万別」と語るのは、立ち上げから3年間にわたって相談業務に当たってきた力山義雄課長。「年金だけではやっていけない」と訴える高齢者、生活費を使い果たして慌てた様子で助けを求める若者、インターネットカフェや公園で寝泊まりしているホームレス状態の中年、刑務所を出所したがどこでどうやって生活していけばいいか分からないという人…。相談内容は多岐にわたるが「周りに相談する相手がおらず、社会で孤立しているということは共通している」と言う。

 相談を寄せる人たちの中には住む場所もない―というケースが少なくないため、市はそうした生活困窮者に期間限定で衣食住を無償提供する一時生活支援事業に着手。市の委託を受けた市内のNPO法人ワーカーズコープが16年5月、市内元町で一時生活支援施設の共同住宅「ワーカーズもとまち」をスタートさせた。全7室で、うち4室が市の一時生活支援事業として運営。残り3室は同法人の独自事業として、生活保護受給者など市の事業の枠には当てはまらないものの、経済的に困っている人を受け入れてきた。

   ■    ■

 「運営側の至らなさを指摘するだけでは、また同じような問題がどこかで起こってしまう。困窮者支援の在り方を根本から考え直すべきだ」。ワーカーズもとまちの責任者、松本賢二さんは札幌市東区の生活困窮者向けの自立支援関連施設「そしあるハイム」の火災について抱く思いを吐露した。

 そしあるハイムを運営していた合同会社なんもさサポートは、困窮者支援に当たる道内関係者の中でも先駆的存在。苫小牧での施設立ち上げの際にも施設運営を参考にしたという。それだけに、今回の火災は松本さんらに大きな衝撃を与えた。

 そしあるハイムの火災では建物の老朽化が火の回りを早くした一因とされるが、1968年に建築された木造2階建ての建物を賃貸契約で利用している「もとまち」も同様のリスクを抱える。苫小牧市消防本部の指摘もあり、できる限りの対策を―と建物のオーナーに掛け合って自動火災報知機を取り付けてもらうことになった。しかし、これにより、毎月の家賃が13万円から18万円に値上がり。市に相談するも委託費の変更はすぐには難しいと言われ、値上がり分は同法人が負担する。

 松本さんは「困窮者が暮らす共同住宅を運営する団体や会社に資金力がなければ、防火対策を講じるよう指導を受けてもそのままの状態で運営するか、事業を廃止するしかない」と打ち明ける。実際、同法人が市内豊川町に開設してきた困窮者向けのシェアハウスも、市消防本部の立ち入り検査で灯油の保管に必要な資格の取得や台所のこんろ周りの改修を求められたが、「もとまち」の家賃値上がりもあって、資金捻出は難しいと判断して廃止を決めた。

 「このままでは困窮者支援どころではなくなってしまう」。松本さんは複雑な思いをにじませた。

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