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土地と人と-地域創造への挑戦

(5)「想像と創造、百人百様のストーリー」

2019/8/23配信

 飛生(とびう)は現住所には無い、白老町竹浦の奥地にある地名である。地名の由来は、アイヌ語で「根曲がり竹(トップ)の多い(ウシ)所(イ)」とされているが、『北海道蝦夷語地名解』には「Tupiu 鳥の名、黒き鳥なり此鳥多きにより名く」と記されており、二つの解釈がある。私たちはこのTupiu=トゥピウという鳥の存在を意識し創作活動を続けている。

 9月7日から15日まで開催される、11年目を迎える『飛生芸術祭』とそのオープニングイベントである『トビウキャンプ』には、子ども連れ家族と道外からの来場が近年増え続けている。その家族連れの多くは一度来たら2度来るというリピート層になっている。

 飛生の立地環境は、交通アクセスは不便だし、決して万全に完備された環境とは言えない。わざわざ来なければたどり着けないこの小さな集落に、毎年会期中に1000人以上の来場者が訪れる。私自身もそうであるが、これまで考えた事も行った事もないどこか小さな町を時々家族で巡ったりする。決して交通の便が良くなくとも、行くと決めたらどうにかたどり着きたくなる。

 知らない土地に行き、そこで知り感じるあらゆる体感や出来事が、『旅』や『回遊』の楽しさと言えるだろう。飛生芸術祭でも会期中に飛生の地のみならず、白老町内各所を回遊出来るプログラムの準備を現在進めている。

 トビウキャンプでは一貫したテーマとして「森と人との百物語」をうたっている。森と廃校舎で一晩を過ごす、という体験はそう多くはないだろう。百物語には文字通り、来場者一人ひとりの物語という意味を込めている。主催者主導の物語や台本上のストーリーではなく、来場者自身が物語の主役となり自分自身で紡いでいくストーリーであってほしい。約90組の多様な表現者たちはキャストとなり、24時間全エリアが舞台となるその演出の一場面を担っていく。そこに百人百様のドラマが生まれていくことを私たちは願っている。

 飛生はいわゆる巨大フェスではない。仲間たちと描く想像と協働を積み重ねていき、この土地でしかできない創造に注力すべきだ。飛生の土地の主『トゥピウ』の存在が私たちの想像力をかき立ててくれている。

(文化芸術事業プロデューサー・木野哲也)

 ※「土地と人と」は毎月第2・第4金曜日に掲載します。

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