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土地と人と-地域創造への挑戦

(3)「土地の記憶へのアースダイブ」

2019/7/26配信

 知らない土地を歩くのは楽しい。地図を開くのも大好きだ。私はこの数年でずいぶんと白老の土地を歩いてきた。

 北海道内の地名の約8割がアイヌ語由来とされる。松浦武四郎が蝦夷地探索を詳細に記録した「東西蝦夷山川地理取調図」は有名な地図だ。アイヌ語地名研究家の山田秀三や、幌別、白老にもゆかりのある知里真志保が残した地図や研究書物を眺めているうちに、その当時の散策リサーチの状況なんかを想像してしまう。

 私たちは去年夏、古い地図を手に実際に土地を歩いて、その地勢や産業、植生などを実感することで、アイヌ語地名が息づいていた時代へのバーチャルなダイビングを試みる企画「白老アースダイブ」を実施した。いわば、地名を用いてきた人々の息吹やその暮らし、かつての”シラヲイ”の土地の記憶に触れることを目指すフィールド・ワークだ。

 定員は15人、「地域学」と「植生学」の2分野を各2回ずつ散策地を変えて実施した。来年4月に白老町に開館する国立アイヌ民族博物館(ミュージアム)の「館の外」に地域文化が根付いていることを意識し、この企画にはあえて「シラオイ・フィールド・ミュージアム」と副題を付けた。

 白老アースダイブでは、最初に座学で基礎を学んだ後に土地を歩いた。1800年代の文献には、例えばシキウ(敷生川河口付近)の前浜では、サケやニシン、タラなどが水揚げされたほか、ナマコを捕るために室蘭のエトモからアイヌが「出稼ぎ漁夫」としてやって来ていたことや、シイタケ、チョウザメ、ネマガリダケなどの交易品も記録に残っている。シイタケは一つ銭2文で和人と取り引きされていたそうだ。2文とは一体どのくらいの価値で、どんな相場感だったのだろう。

 アヨロ(虎杖浜付近)の散策の際には、アイヌが伝え残した「アヨロ村で病が流行ったので、それを人々に伝えて戒める歌」を参加者全員で輪唱した。

 土地を歩くことは、体感であり、歴史をさかのぼってかつての生活風景を想像する楽しさがある。今年も秋にこのアースダイブを計画している。参加者と共に時間軸を超え、土地の記憶にダイビングしたいと思う。

 (文化芸術事業プロデューサー・木野哲也)

 ※「土地と人と」は毎月第2・第4金曜日に掲載します。

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