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売り込め苫小牧港-ポートセールスinタイ

(下)新航路誘致へ知恵絞る 貿易拡大で港の利用促進

2018/12/5配信

 「苫小牧港は北日本経済をリードする物流拠点。国内航路の貨物取扱量は16年連続全国1位で、九つの国際コンテナ航路がある」。苫小牧港利用促進協議会のメンバーは、タイの国際貿易港レムチャバン港やバンコク港などを巡り、現地の港湾関係者へ精力的にアピールした。

 しかし、一行を迎え入れてくれたタイ港湾庁上級管理職のティアン・チャイさんは記者にそっと耳打ちした。「観光地としての北海道は知っているが、苫小牧港という名前は初めて聞いた」。そう聞いて、海外での苫小牧港の知名度不足を実感した。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)北海道によると、北海道からタイへの輸出額は2017年で232億円。主な内訳は建築資材などの鉄鋼が75億円、紙類・紙製品が22億円、食品17億円など。輸出製品の5割強が苫小牧港を通じてタイへ運ばれているが、直行便はない。苫小牧港を出港した貨物船は、釜山港(韓国)や京浜港(東京港、川崎港、横浜港)で別の船に貨物を積み替えて輸送。このため、北海道からタイへの製品の到着は10日から2週間もかかる。岩倉博文市長は「タイとつながる新しい航路を誘致する知恵を絞らねば、苫小牧港の発展はない」と決意を語った。

   ■    ■

 苫小牧港とタイの港を結ぶ航路をつくり出すためには、貿易の拡大で貨物量を増やすことが不可欠だ。同協議会の苫小牧港セミナーに参加したジェトロバンコク事務所の小篠春彦次長は「タイではカニやホタテ、菓子など北海道の食品の人気が高く、北海道ブランドが確立されつつある」と、貿易拡大の可能性を強調した。

 しかし、今のところタイへの海上輸送は少量の小口貨物が主流だ。輸送手段はコストの高い空輸が多く、それに伴って販売価格も高くなり「北海道の商品は富裕層以外、高くて買えない」と説明する。その上で貿易拡大や苫小牧港の利用促進に向けては「輸送費の安い海路の貨物をどう開拓していくかが課題だ」とし、「道産食品を売り込んだ代わりに南洋果実のマンゴーを輸入するなど、北海道とタイの商取引を活発化させることが重要だ」と述べた。

 苫小牧港から海外へ道産食品の小口輸送事業を行っている北海道国際流通機構(札幌市)の鳥取義之代表理事は「タイへの小口輸送を希望する道内企業が増えている」と言う。「道産食品であれば、すぐに売れて儲かるとは限らない。タイの市場を何年もかけて地道に開拓しなければ、販路は広がらず、貨物量もなかなか増えないだろう」と指摘する。

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 道が道産食品の輸出に力を注ぐ中、苫小牧港・東港国際コンテナターミナル隣接地で道内最大級の大型冷凍冷蔵倉庫の建設が進んでいる。道産農産物や加工食品の長期保管と鮮度維持ができ、少量でも海路で輸出できるよう小口混載輸送拠点として整備し、来年9月の稼働を目指す。

 倉庫の運営会社代表で苫小牧埠頭の橋本哲実社長は「苫小牧港は物流の単なる通過点ではなく、大型冷凍冷蔵倉庫のような付加価値を民間で生み出すことが大事だ。道産食品の輸出体制を強化したい」と意気込む。

 タイでのポートセールスを終えた苫小牧港管理組合の佐々木秀郎専任副管理者は「アジア各国に苫小牧港を知ってもらう取り組みを継続し、同時に北の物流拠点として港の機能強化を図り、貿易を振興させたい」と力を込めた。苫小牧港と北海道経済の発展を願い、港を海外へ売り込む関係者の熱い活動はこれからも続く。

(報道部・伊藤真史)

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