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スタートダッシュ-鈴木道政誕生と船出

(下)新しい発想で道政推進 IRやJR問題、試される手腕

2019/5/14配信

 出迎えた約400人の職員の大きな拍手に包まれた。4月23日の道庁1階ロビー。16年ぶりの知事交代。20代、30代の職員にとっては、ほぼ初めての経験だ。全国最年少の38歳の新知事は、紺のスーツ姿でさっそうと初登庁した。
 就任後、初の道政記者クラブとの会見に臨んだ鈴木直道知事は、「若さ」について記者団に問われ、こう答えた。
 「若いというのは、人生経験が不足しているというマイナス点がある。一方で瞬発力、新しい発想で道政を推進していくのも必要ではないか」。そして「広大な北海道。若さでフットワーク良く動いていくことは、もしかしたらプラスになる側面もあるのではないか」と畳み掛けた。
 高橋道政の末期、「道庁スルー」という言葉もささやかれ、存在感が希薄になりつつあった巨大組織・道庁。継承よりは、変革を―。職員たちに「前例にとらわれず、広い視野を持ち、新しい知恵やアイデアを出してほしい」と呼び掛ける若き知事。一気に道政改革を進めるつもりだ。

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 華々しく船出した鈴木道政だが、難題も数多く待ち受ける。当面の最大の課題は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の本道誘致の是非判断と、JR北海道の路線見直し問題の二つだ。

 道民世論が二分し、高橋道政が判断を先送りしたカジノについては、与野党一騎打ちになった知事選でも争点の一つになった。「カジノ誘致反対」を鮮明にした相手候補(石川知裕氏)に対し、鈴木直道氏は「道民目線を大切にしつつ早期に判断する」との表現で賛否を明らかにせず、選挙戦を乗り切った。

 国は今夏にも開設地(全国で3カ所選定)の選定基準を定めた基本方針を公表する姿勢で、同時に各自治体の誘致合戦が本格化する。新知事の決断までに残された時間は、そう長くはない。

 就任会見では「道がまとめた『IRに関する基本的な考え方』をベースに、適切な時期に判断していく」と述べ、早ければ今夏までに決断する姿勢をにじませた。選挙戦で全面支援を受けた自民、公明の与党勢力の間でも、カジノ誘致の姿勢には温度差があり、苦渋の選択を迫られる。

 JR問題も重くのし掛かる。JRが国の支援を受ける根拠となる国鉄清算事業団債務等処理法は、2020年度末で期限切れを迎える。JRが公的支援を前提に存続を目指す赤字8線区の利用促進のほか、国や自治体の負担規模を明確にし、国に法改正を求めるリーダーシップを道が担わなければならない。

 鈴木知事は公約で「地域交通の確保」を掲げ、JR問題は「地域の実情や市町村の意見を踏まえ、関係機関による検討・協議を早急に進める」の表現にとどめた。自ら否定しない官邸との太いパイプも生かし、難題に決着をつけ、鉄路再生への一歩を踏み出せるか。手腕が問われる。

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 就任会見で「まさに車の両輪。議会議論で北海道を発展させる政策を練り上げたい」との姿勢を示した道議会との関係。勢力図は統一地方選を経て、自民党・道民会議が53人と単独過半数を獲得し、公明党道議団は8人。定数100のうち、与党勢力は計61人を占め、鈴木与党は盤石にも映る。ただ、候補選考レースで「鈴木擁立」に反旗を翻した自民党道議は少なくなく、しこりが解消されたかは疑心暗鬼に包まれる。政策推進で一枚岩になれるか、関係修復が最大の焦点になる。

 改元の春の10連休が明けた7日。道庁内に衝撃が走った。鈴木知事が辻泰弘(63)、窪田毅(63)、阿部啓二(61)の各副知事を全員交代させる方針を固めたからだ。副知事3人が一斉に交代するのは、道政史上初めてだ。

 連休前に「熟慮している。北海道のために力を尽くしてくださる方は、いっぱいいる」と語っていたが、まずは人事で高橋カラーからの脱皮へかじを切った。後任には中央官僚、民間からの起用、内部昇格が取り沙汰される。

 その副知事人事も提案される、鈴木知事にとって初の臨時道議会は16日から7日間の日程で始まる。初当選が決まって、抱負で語った「スタートダッシュ」を切れるか。全国最年少知事の鈴木道政が、難題山積の荒波の中に船出しようとしている。

(札幌支社・広江渡)

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