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スタートダッシュ-鈴木道政誕生と船出

(上)逆風の候補選考 「退路断ち」出馬表明

2019/5/13配信

 一部開票作業でトラブルがあり、確定票が出たのは翌日の午前6時を回っていた。4月7日に投開票された道知事選。与党が推した鈴木直道氏(38)が162万1171票を得票したのに対し、野党統一候補の石川知裕氏(45)は96万3942票。鈴木氏の圧勝だった。

 確定票が出た2時間後の早朝、鈴木氏は報道各社の共同インタビューに向き合っていた。場所は前知事の高橋はるみ氏(65)が、選挙戦のたびに使用していた札幌市中央区大通西10の後援会事務所。

 「これからやるべきこと、やらなければならないことがいっぱいある。就任から直ちにスタートダッシュを切れるようにしたい」

 17日間の選挙戦で全道各地を遊説し、かれた声を振り絞り、こう語った。

 そして「よくここまでたどり着けた」―。昨年12月から前哨戦を含めて約4カ月にわたった過酷なレースを、鈴木氏は心の中でつぶやいた。

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 鈴木氏は事実上、2度の選挙戦をくぐり抜けて道政のトップへたどり着いたと言える。知事選本番と自民党内の候補選考レース。与野党一騎打ちとなった前者より、むしろ後者の方が激戦だった。これほど身内から反対論が噴出し、逆風の中で立候補にこぎ着けたケースは異例だ。

 その日も女性団体が302人の署名簿を添えて、国土交通省の和泉晶裕北海道局長(57)を推薦候補にするよう、自民党道連に押し寄せていた。代表団の一人、フリーキャスターの中田美知子氏は「シーニックバイウェイの立役者であり、地域密着で活躍してこられた」と和泉氏を推す理由を記者団に説明した。

 37人の自民党道議有志、17人の市町村長有志、道商連の政治団体など、1月中旬から下旬にかけて、雪崩を打って和泉擁立論の大合唱が起きていた。当時の高橋知事まで「自民党道議の半分以上の方々が要請したことは、重く受け止める形で選考を進めてほしい」と記者団に述べ、和泉氏支持の姿勢をにじませた。

 党内の流れが和泉氏に傾く中、鈴木氏が選択したのは、政党の推薦決定前のイチかバチかの出馬表明。2月1日の札幌市内のホテル。報道陣も先の見えないレースに困惑する中、鈴木氏は会見で語り出した。

 「政治家の出処進退は自らが判断するもの。退路を断って、道民に知事選に挑戦させていただくと示した上で、政党にお力添えをお願いしていく。これも一つの筋じゃないかと思った」

 会見終了後に鈴木氏が向かったのは公明党道本部。待ち受ける稲津久代表は「38歳という若い政治家としての将来性に期待したい」と述べ、即日で推薦を決定。自民党が態度未定の段階で、公明党の推薦が先行するのは異例。流れは逆転し、その後、自民党も推薦を決定。鈴木氏が激しい権力闘争を勝ち抜いた。統一地方選の期間中、公明党の集会に頻繁に出席した鈴木氏は、こう頭を下げた。

 「公明党の皆さんの支援がなければ、今の私はない」

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 知事選告示後、初めて迎えた週末の3月23日。雪が舞って冬のような気温に包まれる中、札幌の繁華街・すすきので、応援に駆け付けた小泉進次郎衆院議員はコート無しのスーツ姿で叫んでいた。

 鈴木氏とほぼ同世代の小泉氏は「鈴木さんに浴びせられている三つの批判に対し、反論に来た」と切り出し、▽若いから経験不足▽北海道出身者じゃない▽若いくせに酒の席で酒をついで回らない―との批判に対し、一つ一つ小泉節で反論。「安定を求めるということは、停滞を求めることだ。北海道を変えるため、全速力で若さを生かして思い切ってやってほしい」と選挙カーの上でエールを送った。

 「鈴木人気」は陣営の想像以上で、報道各社の調査でも序盤から大差がついた。候補選考レースを勝ち抜いた時点で、知事の座は約束されていたのかもしれない。

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 現役では全国最年少知事となる鈴木道政が4月23日、船出した。4期16年続いた高橋道政に代わる38歳の新知事誕生までの裏舞台、待ち受ける道政運営の課題を探った。2回連載。

(札幌支社・広江渡)

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