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令和に輝け-千歳・恵庭

(1)図書館が人をつなぐ 「本の巣箱」をまちじゅうへ

2019/6/1配信

まちライブラリー@千歳タウンプラザのマネジャー・久重薫乃さん

 「自由さがいいな、って思っています」―。千歳市幸町の民間図書館「まちライブラリー@千歳タウンプラザ」でマネジャーを務める。にぎやかな館内に思わず顔がほころぶ。子供たちが声を出して走り回り、高校生が飲食しながら学びを深める。誰でも自由に利用できる雰囲気に「いろんな方が、いろんなふうに利用してくれている」と手応えをつかんでいる。



 愛媛県出身。サービス業に興味があって京都の専門学校に進み、人生を左右する出会いに恵まれた。学校図書室にいた親子ほど歳の離れた女性教員。趣味が広く、会話も弾み「学生時代の話とか。授業以外のことを教えてくれた」。別のクラスや学年の学生も自然と集まり、交流を深めるうちに「図書館は面白い人が集まる。人との出会いは楽しい」と感じた。

 思いが高じて司書になることを決意し、京都ノートルダム女子大に編入。司書資格を取得し、就職先はもちろん図書館。最初は神戸で1年間、次は香川で3年強、指定管理者制度を導入していた公立図書館で司書を務めたが、窓口業務に忙殺されるなど理想とは違った。「カウンターの外に出て仕事がしたい」。自由さと人との出会いを求めた。

 そんな時に女性教員からまちライブラリーを薦められた。2016年8月に大阪で同図書館の提唱者、磯井純充さんと会って「面白そう」とすぐさま心を引かれた。それまで就職先の選択肢は公共図書館や学校図書館しかなかったが「本を媒体にしたいろんな仕事、いろんなライブラリーがある」と知った。千歳のオープニングスタッフとして採用が決まった。

 それまで北海道に行ったこともなく、縁もゆかりもないどころか「雪のあるところに住んだことがなかった。雪国はいや」。10月に初参加した催し「サポーターカフェ」では、一般市民と一緒に「ここで何をするのか、よく分からないですね」。オープニングイベントに参加してくれる人を集めることから始めた。

 「あのーっ」と片っ端から声を掛け、趣味の話ができるかなどを尋ねた。内心は「どうしよう」と右往左往していたが、多くの人があっさりと「いいよ」の返事。「すぐに温かく受け入れてくれた。力になってくれた人に感謝しかない」。雪国に対して抱いていた不安などを、千歳市民の熱い心が溶かしてくれた。

 記念すべき16年12月のオープニングは、記録的な大雪に見舞われて客足も伸びず「今となっては笑い話。でも、あれがあったから、何も怖くなくなった」。参加した人が楽しんでくれたらいい。きょうが駄目なら次を設ければいい。「やれない理由でなくて、どうやったらできるか」を考え、市民が提案する企画の実現などに奔走する。

 現在は小さな図書館になぞらえる「本の巣箱」をまちじゅうに広げる計画を進めている。「誰もが身近に本があって、交流できる環境はいい。多くの人に主体的に関わってほしい」と願う。根底にあるのは本を通した人と人との交流。「ゆくゆくは自分がオーナーになってライブラリーを作りたい。自宅を開放するのもいいし、いろんなことができそう」。読書のまちづくりを体現していく。(金子勝俊)

 新しい時代の令和が幕を開けた。平成に生まれて、活躍し始めている若い人たちを取材した。毎週土曜に掲載。

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