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ウトナイ湖サンクチュアリレンジャー通信

二つの湿地を空から眺める 福岡・和白干潟と勇払原野

2019/1/18配信

 皆さんは新しい年をどこで迎えられたでしょうか。私は年末に故郷の福岡へ帰省しました。新千歳空港を飛び立ち、約2時間のフライトです。日本海側を進み、玄界灘で北から着陸態勢に入ると、左の窓の下には勾玉(まがたま)のような形の相島(あいのしま)。さらに高度を下げたところで、博多湾の奥に和白(わじろ)干潟が見えました。

 この砂質の干潟は、ウトナイ湖や勇払原野と同様、多くの水鳥たちの生息地として知られています。と言っても、観察できるのはオオハクチョウやマガンではなく、ミヤコドリやズグロカモメ、クロツラヘラサギなど主にゴカイやカニ類を食べる野鳥。片や北海道の湿原、片や九州の干潟。同じ湿地でも、地理的な位置や自然環境の違いにより、水鳥の顔ぶれはずいぶんと変わるものです。

 和白干潟は地元の団体が、勇払原野は私たち日本野鳥の会が活動の中心となり、どちらもラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)登録を目指している湿地です。この条約で定義づけられた「湿地」には、干潟や湿原のほか、湖沼や河川、遊水地、マングローブ林、サンゴ礁なども含まれます。ちなみにウトナイ湖は、1991年に条約に基づく「国際的に重要な湿地にかかる登録簿」に記載され、ラムサール条約湿地となりました。

 湿地は、じめじめして役に立たない土地と見なされ、世界各地で多くが住宅地や工場などに置き換わってきました。ですが近年、その生物多様性とともに、豊かさや価値、人間にもたらす恵みが再評価されつつあります。湿地は私たちの生活圏に近く、人間の暮らしと密接に結び付いており、1971年に採択されたラムサール条約には「賢明な利用」、つまり、生きものの生息地を守りながら、湿地を活用しようという理念がうたわれています。

 復路の機内からは、勇払原野を眼下に望むことができました。市街地のすぐ隣に残った湿地をいかに保全するか。その恵みを享受しながら、共に持続して生きるにはどうすればよいのか。街の規模は違えども、苫小牧や福岡といった都市に共通するテーマだと感じました。折しも2月2日は、ラムサール条約が採択された日を記念する「世界湿地の日」。ウトナイ湖野生鳥獣保護センターでも、湿地に親しみ、学んでいただくイベントを前後に計画しています。この機会に身近な「湿地」に目を向けていただければ、と思います。

(日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・中村聡レンジャー)

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