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開港30年 新千歳の飛躍

(下)国際線ビル拡張着実に進む整備 来道500万人時代の玄関に

2018/7/24配信

 ■押し寄せる国際線と訪日客

 新千歳空港の国際線旅客ターミナルビル。ガラス張りの壁から外を眺めると、大型クレーンや重機の動く一角が見える。北海道開発局が2016年度から進める国際線ターミナル地域再編事業の工事現場だ。

 20年3月完成を目指す事業は6カ所の駐機場(スポット)を9カ所に増設。現在は滑走路と国際線ビルを結ぶ北側のみの誘導路を南側へ1・7キロ整備し、航空機の地上走行距離を1・5キロ短縮する。空港南側から苫小牧方面へつながる道道新千歳空港線では、新誘導路の下をくぐり抜けるアンダーパスの工事が進む。旅客ビル管理会社の新千歳空港ターミナルビルディングも国際線ビル増築で保安検査場やCIQ(税関、出入国管理、検疫)機能の増強を進める。

 一時的な伸び悩みを経ながらも規模拡大を続けてきた新千歳。新空港整備の構想が持ち上がった1974~2016年度に国が投じた整備費は、滑走路や誘導路など土木工事のみで初期造成費を含む約1300億円に上る。

 中でも顕著な伸びを示すのが国際線旅客。開港した1988年の約9000人から2017年の328万人と364倍に飛躍した。国際線ビル3階の保安検査場前が出発機の重なる午後にごった返す光景は、日常茶飯となった。

 ■描かれた将来像と今の姿

 新千歳の整備基本計画が策定されたのは1973年。当初に描かれた将来像は今と異なっていた。旧運輸省(現国土交通省)が開港7年前の81年に発行した「千歳空港の概要」には、新千歳の整備計画図が添えられている。現国内線ビルの南側に同じ扇形のビル、現国際線ビルの場所に警察署や郵便局が並ぶ。計画の最終値は旅客3600万人としていた。

 その後、社会情勢の変化から変更計画が85年に決定。計画は新千歳を国内基幹空港と国際航空拠点とし、積雪寒冷地に対応する施設で「万全の除雪体制を講ずる」ことを基本方針に掲げた。

 変更計画は整備を段階的に進めるため、3期制を採用。1期は88年7月20日を目標に滑走路と誘導路などを整え開港。2期は92年7月1日を目標に新ターミナルビルへ全面移行。3期は2000年7月を目標にB滑走路などを仕上げる―という内容だった。

 実際に1、2期は目標通り達成。民航機の新千歳と航空自衛隊の千歳飛行場の両面管制が日本で唯一始まる。3期のB滑走路は2年繰り上げて供用開始。以後の整備も基本方針に沿って進んでゆく。

 ■雪氷との闘い30年

 新千歳は開港以来、冬が来るたびに雪と闘ってきた。発着便数の増加に加え、雪質の変化や航空機の多頻度小型化などが拍車を掛ける。16年12月下旬には発達した低気圧で雪が降り続き、3日間で1万人超が空港に寝泊まりした。

 国土交通省は関係機関と共に改善策を策定。到着機を空港ビルから離れた駐機場「オープンスポット」に誘導し、交通事業者との情報共有メールシステムも構築。凍結防止剤散布車を2台増やし3台にしたことも奏功し、17年度の冬は除雪による滑走路2本の同時閉鎖は行われなかった。

 北海道が訪日外国人旅行者(インバウンド)年間500万人を目指す20年。同年から道内7空港の運営権一括民間委託が始まる。民間事業者が滑走路など空港施設や旅客ビルなどを複数の空港で一体的に運営し、航空需要の掘り起こしと全道の観光振興を狙う。新千歳は中でも営業収益約58億円(16年度国交省試算)を上げる目玉空港だ。

 開港から30年を迎えた18年は事業者選定の第1次審査が8~9月に行われる。各陣営の提案する新千歳を軸とした道内の航空交通体系や観光振興策などが次の30年へ向けた一歩となる。

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