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開港30年 新千歳の飛躍

(上)官民一体の運動、実り新空港建設 道経済活性化期待集める

2018/7/20配信

 ■石狩か、千歳か

 「空港は千歳ではなく、石狩にできるのでは」―。千歳市大和在住の根本敏美さん(88)は、1966年7月15日、動揺していた。当時の市議会議員。空港対策特別委員長として、「大変なことになる。本腰を入れなければと思った」という。

 自衛隊と民間の航空機が共用していた千歳空港。将来の航空需要の伸びを見据え、当時の福田篤泰北海道開発庁長官らが同空港拡張とはせずに「候補地は全く白紙」「札幌周辺に新しい国際空港を造る」とする趣旨の発言をしたからだ。

 さらに同日には、札幌経済協議会が、札幌に近く霧が少ないことを理由に、当時の石狩町生振(おやふる)に新空港を建設するように関係省庁に求める方針を固めた。

 千歳市は16日に臨時議会を開く。議事録によると、当時の米田忠雄市長は民間空港の必要性を強調し、議会は「千歳空港を民間専用の国際空港とすることについての要望意見書」を議決。

 これを機に同特別委員会は市議全員による編成となり超党派の取り組みに拡大した。道内各地に同要望書への署名を求める。「米田市長と共に各まちを回り、土地の広さなど千歳の利点を説いた」と根本さん。

 市は経済団体などと共に、その後も関係省庁などへの働き掛けを緩めなかった。

 翌67年7月27日。千歳民報は当時の大橋武夫運輸大臣が札幌市内のホテルで行った記者会見の内容を報じている。記事によると「札幌近くに新空港をという声があるが、やはり今の千歳空港を整備することが一番良いと思う」とし「政府として十分前向きに検討したい」と述べた。官民一体の運動の結果、千歳市への新空港建設が決定的となった。

 ■国際エアカーゴ基地構想

 新千歳には、物流拠点形成への期待も込められた。市などに残る資料によると、87年11月、道は北海道新長期総合計画(88~97年)を策定し「国際エアカーゴ基地構想」を重要プロジェクトとして盛り込んだ。

 基本目標は▽北海道の需要だけでなく、成田空港の一部を補完する「北のゲートウエー空港」を目指す▽北米線、北回り欧州線、東南アジア線の接点として「北方圏とアジアの航空輸送の要となる中継地点」を目指す▽国際航空貨物の取扱量を当面2万トン、2000年には20万トンを想定―など。24時間体制で国際航空貨物を発着させる構想だった。

 実現に向け、86年7月15日、札幌国際エアカーゴターミナル(SIACT)が道内経済4団体に加盟する26社の出資を受けて設立している。資本金は3億円。88年度には千歳市、苫小牧市や道、札幌も出資する第三セクターとなり、資本は10億円に増資された。このうち千歳市の出資は500株2500万円だった。

 千歳市富丘在住の梅沢健三さん(85)は4代目市長(87~91年)で、当時のSIACT取締役。「北米や欧州からの便は新千歳に降りることで成田よりも1割余分に貨物を積める。アジアの拠点空港として新千歳は最適。経済界と一生懸命になって構想を練った」と振り返った。

 ■開港

 88年7月20日、新千歳空港は待望の開港を迎えた。午前9時40分、誘導路付近では東京航空局と道開発局による「新千歳空港供用開始はさみ入れ式」が催される。出席者の顔触れは、梅沢千歳市長、鳥越忠行苫小牧市長のほか、当時の横路孝弘道知事、開発庁長官、当時の運輸省や防衛庁関係者ら。テープカットの後、くす玉が割られた。

 梅沢さんはこの際に「北海道の経済活性化の鍵を握る空港として、千歳市は頑張らないといかん」と誓ったという。「米田、東峰(元次)―。前任者たちの方針を引き継ぎ、新千歳の夢を広げなければ」。穏やかな空に飛び立つ全日空の1番機を見上げた。

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 新千歳空港が20日、開港30周年を迎えた。スタートから現在までを振り返り、将来を展望する。

 ◇新千歳空港開港までの歩み
1926年10月 村民による飛行場完成
  37年 9月 海軍航空基地に決定
  45年 8月 米軍接収
  59年 7月 米軍から日本政府に返還
  60年12月 東側滑走路を3000メートルに延長
  61年    新千歳空港の用地買収開始
  72年 2月 札幌冬季五輪で12カ国から25機が飛来、4月に新千歳空港建設促進期成会発足
  73年 9月 新千歳空港整備基本計画を策定
  74年 4月 第2種空港空港に指定。
  75年11月 第1期工事着手
  78年    東側滑走路1000メートル南方に移動
  80年    国鉄千歳空港駅営業開始
  81年 3月 定期国際線ホノルル線就航
  82年 2月 新千歳空港建設整備連絡会議発足
  83年 5月 新空港滑走路工事着手
  85年11月 新空港変更基本計画策定
  86年 3月 新空港変更設置告示、6月に事業認定告示、8月に千歳飛行場開基60周年記念行事
  87年 7月 新千歳空港国際化推進協議会発足
  88年 6月 新空港と旧空港の両面管制業務開始、7月にA滑走路完成、供用開始

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