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未来を見据え-胆振東部地震から1年

(5)地域再生 まちづくりへ知恵結集、情報発信で関心呼び掛け

2019/9/7配信

 胆振東部地震で大きな被害を受けた厚真、安平、むかわの3町は最優先課題である町民の生活再建と復旧復興をまちの未来にどう結び付けるか模索している。

 今年7月に復興計画を取りまとめたむかわ町は同月、生活再建と足並みをそろえる形で「町地域商社」(仮称)の設立準備会を立ち上げた。地域力を結集したまちづくり戦略に位置付けたもので、初会合には地元の一次産業や商工、金融など町内外から多分野にまたがる約30人が出席し、意見を交わした。町は2021年度までに設立する考えで、竹中喜之町長は「皆さんの力を借りて地域資源の価値、魅力を発信し、未来につなげたい」と意気込みを語った。

 地域商社を立ち上げる背景には、増加する人口流出への危機感がある。震災前に8200人台だった人口は、今年8月末月時点で約7900人になった。1年で約300人が町外に出た格好だ。

 こうした地域の衰退を食い止める策として、町が注目しているのが恐竜の全身骨格化石「むかわ竜(通称)」だ。話題性の高いむかわ竜を起爆剤にこれまでの地場資源も磨き上げ、波及させることで地域活性化につなげる戦略を見据えている。

 地域商社の立ち上げに向け、同町がまちづくりアドバイザーとして招聘(しょうへい)した総合商社三井物産の元社員遠藤研二さん(67)は7月、東京からむかわ町に移住。地域の声を集めながら地域資源の可能性を探りつつ、まちの売り込みにも奔走している。

 遠藤さんは最初に見た町の光景に驚きを感じた。「解体待ちの建物がメイン通りにあり、道路の一部もゆがんだまま。被害の深刻さを感じた」ことで、復興への思いを強くしたという。

◆     ◆

 東胆振3町の関係者に共通するのは、復旧復興が険しい道のりになるという思いだ。土砂災害で多くの犠牲者が出た厚真町は復興計画の策定方針に「すべての町民が被災者」と明記。安平町も同様の方針に「重傷者などの人的被害や住家の約97%に被害」との文言を盛り込み、地域全体に影響が及んだ現実を示した。

 両町とも地域の声を聴きつつ中長期的な観点の計画づくりを進める考えだが、一方で人口減少という課題も抱える。震災をきっかけにボランティアなど多くの支援が入った3町では人材や団体、地域とのつながりが広がった。復旧復興にはマンパワーが欠かせず、新たに生まれた縁をどう生かすかが今後のまちづくりの重要なポイントになる。

 1年という時間が過ぎる中で、各町とも地域の情報を発信する活動を続けている。現状への理解に加え、被災地に関心を持ってもらうきっかけになると考えているからだ。ひいては各地域に心を寄せる人が増え、復興の後押しにつながるという期待感もある。

 ただ、被災者の中には「忘れられ、風化してしまわないか心配」という思いもある。情報をどう受け止め、どんな形で支援をしていくことができるのか。被災地に隣接する地域に住む私たちにも問い掛けられている。

(胆振東部地震取材班・おわり)

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