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未来を見据え-胆振東部地震から1年

(4)子どもの声 住み続けたいと思えるまちづくり、今度は支える側に

2019/9/5配信

 「一度失った明るさを私たち子どもの力で取り戻したい」―。むかわ町の鵡川中学校に通う高田真愛さん(15)=3年=が語る未来への思いだ。震災から1年。家族と過ごす自宅や友人がいる学校など楽しい時間の中にも、どこか不安を感じ「今も余震があるたびに9月6日の恐怖を思い出してしまう」と今の心のありようを振り絞るように話した。

 町内ではこの1年、さまざまな支援活動や復興イベントがあった。みんなで前を向き、少しずつ進んでいる復興の道。何度も「不安なのは自分だけではない」と言い聞かせるが、激しい揺れの記憶は簡単には消えず、余震のたびに心が揺さぶられ、さまざまな感情がこみ上げるという。

 厚真高3年の高橋尚揮君(17)は1年前の日々を振り返り、自分に災害が降りかかることを「肌で感じた」と語る。今は高校生活を送りながら、地域の大人たちと一緒に町民吹奏楽団の一員として活動。卒業後は「地元に就職して自分が支える側になりたい。災害は決して他人事ではないから」と決意を語る。

◆     ◆

 東胆振3町は復旧復興以外に、少子化や人口減少という課題も抱える。将来を担う子どもたちをどう育てていくかは各町の共通テーマで、それぞれが模索しながら子どもたちにつなぐためのまちづくりを進めている。

 厚真町で5日に開かれた「子ども未来フォーラム」では、その方策などを探ろうと道内外から教育分野の専門家らを迎えた。今春開所した新たな遊び場を拠点に町の未来を語る試みだ。

 担当する町教育委員会の斉藤烈さん(31)は、震災1年のタイミングで開催する理由を「未来に向かって動きだしている今の厚真を見てほしかった。そして、地元の子どもたちが将来『厚真っていいな』と思うきっかけをつくりたかった」と打ち明ける。

 むかわ町は子どもたちの郷土愛を育もうと、自然や歴史、文化などを学ぶ「むかわ学」を2017年から始めた。地域全体をキャンパスに見たてて課題の発見や解決能力を身に付けるのが狙い。鵡川高校を皮切りに昨年は鵡川中でもスタートした。

 町教委の長谷川孝雄教育長(60)は、子どもたちが成長した後も住み続けたいまちにすることが重要と指摘。「時代がどんなに変わっても人が人を育てる。だからこそ今ある課題と向き合うことが大切」と話す。

 7月下旬、厚真町で開かれた地元の小中学生による子ども教育委員会には児童会と生徒会の役員14人が出席し、震災復興を含めた将来の厚真について話し合った。子どもたちからは「厚真は頑張っていると全国に伝えたい」「たくさんの人が恋しくなる故郷に」など郷土への思いがこもった言葉が続いた。

 その思いを受け止め、どう形にしていくか―。世代の垣根を越えた取り組みはそれぞれの地域で始まったばかりだ。

 (胆振東部地震取材班)

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