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未来を見据え-胆振東部地震から1年

(3)心のケア 被災者に寄り添う、心のダメージ早期把握を

2019/9/4配信

 8月27日の正午すぎ。厚真町本郷の仮設住宅内にある談話室に10人ほどが集まっていた。昼食を一緒に食べながら交流してもらおうと、苫小牧の団体が今年6月から月1回程度のペースで開催している交流サロン「ともカフェ」。スタッフが手作りした天ぷらうどんを味わいながら、「最近、なんだか寒いね」「今度みんなで焼き肉をしようと思ってるんだ」などと思い思いに言葉を交わしていた。

 出会いは仮設住宅に入居してからだが、今は昔から知り合いのような間柄だ。談笑の合間に1人の男性が「自宅の建て替え工事が終わり、間もなく仮設住宅を退去することになった」と近況を報告。全員が「よかったね」と拍手を送る中で、「いいなあ」とつぶやく姿もあった。

 仮設住宅の町民を支える厚真町社会福祉協議会生活支援係の山野下誠主幹(48)は、「仮設を出て新たな生活に進む人がいる一方で、生活再建の見通しを立てられない人もいる。先送りしてしまう自分に焦りやいら立ちを募らせているようだ」と現状を語る。

 ただ、仮設住宅を退去する人も今後の生活に不安や複雑な思いを抱えているといい、「その気持ちに丁寧に寄り添っていくことが、私たちに求められている大切な役割」と支える重要性を話した。

◆     ◆

 厚真、安平、むかわの3町は地震発生以降、町や社協の担当者が町民を戸別に訪問し、生活の困り事などを聞き取る活動を展開している。その際、相手の表情や顔色の確認など、精神的な変化も把握するのがポイントという。

 東日本大震災など多くの自然災害の被災地では、時間の経過とともに心のダメージが徐々に増していく被災者が多かった。こうした過去の経験から学び、状態が深刻化しないよう適切なケアを早期に行うことを狙いとしている。

 むかわ町は今年3月から、社協などと連携して約4000戸の全世帯を訪問確認する在宅支援訪問プロジェクトを進めている。これまでに約3000戸の訪問を終えたが、中には小さな振動でも地震と疑うほどの不安を感じるなど、心の動揺を抱える人も。安平町は半壊住宅やみなし仮設住宅の世帯、一時的な町外転居者を対象に同様の活動をしているが、時間を要する課題も抱えている。

 3町は心のダメージの早期発見に向けて共通の質問項目を盛り込んだ「こころの問診」を昨年末からスタートさせた。うつや心的外傷後ストレス障害(PTSD)のリスクを調べるもので、厚真町では6月上旬に健診受診者を対象に実施。現在は回答者約790人分の分析を進めているが、「一定の割合で高リスク者がいて、若い世代も目立つ」(町民福祉課健康推進グループ)という。

 今後の生活や家庭経済、育児など多くの不安を抱える人々をどう支援していくか。被災3町の担当者は「早急に対応策を検討する」と話している。

(胆振東部地震取材班)

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