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超高齢社会と運転免許

(下)自主返納と対策

2017/9/27配信

 「交通事故が多いのは分かるけど、免許を返して車に乗れなくなったら食えなくなるよ」

 苫小牧市啓北町の松浦茂さん(79)は普段、仕事や買い物で車を頻繁に使うため運転免許証は欠かせない。高齢ドライバーによる交通事故が多発しているのは新聞やテレビなどを通じて知っているが、返納する考えはない。5月上旬に運転免許証更新のための講習を地元の自動車学校で受講した。

 市内有珠の沢町の山品重雄さん(78)も日々の買い物に車が必要で「JRを利用するにしても駅まで行く手段もないから、免許は返せない」と打ち明ける。

 「公共交通機関もあるけど手間暇かかり、疲れてしまう」と語るのは、持病の治療のため、マイカーで通院している市内柏木町の鈴木勇悦さん(84)。市内緑町の河合和夫さん(79)は家庭菜園が趣味で、自宅と畑の往復に車を使っており、「まだ免許は返さない」。その上で「運転には自信があるけど、これから先は分からんね」とも。

 車は趣味やレジャーなど余暇を楽しむためにも必要で、免許返納者の生活をいかに担保するか、課題が浮き彫りになっている。

   ◇    ◇

 改正道交法が施行され、半年余り。自主返納したり、免許取り消し処分となる高齢者も出る中、返納者へのタクシー、バスチケット配布など補助の必要性が議論されている。交通弱者対策が新たな社会問題として浮上しているためだ。

 道によると、自主的に免許証を返納した人への補助制度を設けている自治体は道内に23市町村ある。空知管内雨竜町では商品券3万円、石狩管内新篠津村では公共交通利用券6万円分を返納者に交付。オホーツク管内美幌町は免許に代わる身分証明書になる運転経歴証明書の交付手数料1000円を助成している。

 東胆振1市4町では、苫小牧市が返納者への特典を先駆けて用意。苫小牧署管内最多の返納者を抱える同市は5月8日から、加盟店で使える地域通貨「とまチョップポイント」200ポイントを返納者に付与している。担当者によると、8月末現在までに沼ノ端コミセンや住吉コミセンなど7カ所で、10人がポイントを獲得した。むかわ町は補助制度を設けていないが、町交通安全推進協議会が自主返納者に2000円分の金券配布を検討中。安平町は「2年後までに何らかの補助制度を実施する方向で検討している」と言う。

 同署管内での免許返納者は2012年24人、13年80人、14年201人、15年271人、16年344人と年々増加。17年は8月末時点で353人に上っている。

 車は地方ほど、交通手段として必要な存在だ。では、これまで送ってきた生活を返納後いかに担保していくか。地域社会全体で新たな交通システムを考えなくてはならない。地方では高齢化と交通過疎地化が進む。地域ごとに異なる人口や生活の実態に応じた暮らしやすいまちづくりを、官民挙げて構築していく努力が求められている。

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