1

19(土)

胆振の
明日の天気

曇り後一時雪

2 / -2

前へ-胆振東部地震被災地の人々

(5)町民と連携、復興に全力 安平町のはやきた子ども園園長・井内聖さん

2019/1/11配信

 朝の日差しと木のぬくもりに包まれたホール内で、慰問に訪れた大人たちが刻む軽快な太鼓のリズムに乗って、園児がはしゃぎ回る。昨年12月中旬、安平町早来大町の認定子ども園「はやきた子ども園」。そんな光景を見守る優しいまなざしの奥に時折、よみがえる思いがある。

 昨年9月6日午前3時8分。園児の「お泊まり会」で、預かった子どもたちを寝かしつけ、事務所で夜勤業務を続けていたところ、突然の大揺れに見舞われた。立つことさえままならない。このままだと建物全体が崩れ、死人も出てしまう―と感じた。四つんばいになって副園長と2人で必死に園内を回り、子どもたちの無事を確認した。

 職員65人が全員被災し、出勤できたのは10人ほど。発災時のマニュアル上は保護者に連絡し、子どもたちを迎えに来てもらう流れになっているが通信障害で電話がつながらない。朝まで子どもたちを預かることを決めると同時に、園を避難所として開放。職員の家族を含む町民約50人を受け入れた。

 水道と電気は止まったが園内の井戸を活用し、公用車の電気自動車から電源を取った。携帯電話のインターネットが辛うじてつながっており、SNS(インターネットの交流サイト)上に現況や子どもたちの写真を掲載。無事を報告すると共に、支援を呼び掛けた。町民有志と職員総出で園の片付けや炊き出しなどに取り組み、2日後に園を再開。地震で受けた恐怖を子どもたちの心の傷にしたくないという強い気持ちで死力を尽くした日々だった。

◇    ◇

 旧追分町(現安平町)生まれ。千歳市や江別市で中学校教諭を務めた後、2005年に恵庭幼稚園教頭に。同園長を経て、16年に開園した系列のはやきた子ども園の園長に就任した。開園当初から開かれたコミュニティーづくりがモットー。日常的に地域住民の園への出入りを自由にしてきたことで子どもたちや職員、保護者、町民間に顔の見える関係が築かれた。大地震という緊急時にあっても互いに協力し、早期の再開を実現できた。

 こうした人間関係は、昨年11月に園内で仲間8人と立ち上げた「安平町復興ボランティアセンター」の運営にも生きている。道内各地から駆け付けたボランティアらと、追分小の引っ越し作業などに取り組んできた。センター長として「ボランティアと役場、町民の力をつなぎ、まちの復興を全力でサポートし、子どもたちを中心としたまちの未来を全力で築いていきたい」

 11月から週2回ペースで開講している中学生の自主学習を支える無償学習塾「あびら未来塾」や、追分地区の飲食店を飲み歩く12月のはしご酒忘年会も町民と力を合わせて困難を乗り越えてきた経験の中から生まれた。

 19日には早来地区で新年会を開催。4月に開業予定の道の駅も観光協会と力を合わせて盛り上げていく。気心の知れた人間関係構築が子どもたちの新しい未来を築くことにつながると信じている。

(半澤孝平)

週間ランキング

集計期間 01/12〜01/19

お知らせ

受付

苫小牧民報社から